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白神の剣 10 ( No.10 )
日時: 2010/08/27 14:31
名前: 皐月凪 (ID: VozPDcE.)

...気づくと俺は、保健室のベットの上で横になっていた。
「ようやく目が覚めたのね...大丈夫?」
俺の横には、天宮さんがいた。
...天宮さんの頬が赤く腫れていた...俺は左手でそっと、天宮さんの頬に触れる...

「天宮さんこそ大丈夫?...すみません..もっと早く助けに行けばよかった..」
天宮さんの瞳から、涙が溢れる...
俺は、頬に触れていた左手で、涙を拭う..

「泣かないでください...天宮さん、みんなのためにたった一人で立ち向かって、かっこよかったですよ」

天宮さんは、横になっている俺に覆い被さるようにして、抱きついて号泣している......あんなに、冷静にしているようだったけど、本当はすごく怖かったんだな...俺はそんな天宮さんをそっと抱きしめてやった。

「すきなだけ、泣いてください...」

それから、しばらくして天宮さんが泣きやんだ。
「ごめんね、変なとこ見せちゃって...」

「なにが、変なんですか?...泣きたいときは泣けばいいじゃないですか」
俺は、笑顔で言う。

「もう、学園祭終わっちゃうね...」
「天宮さんもしかして、ずっとここにいたんですか?」
「ええ、わたしを助けてくれた人を置き去りにできるかしら...」

「そ、そんな..最後の学園祭なのに...」

「いいのよ、生徒会長としての役目は果たしたし、悔いはないわ。」

「そんなの嘘です..今からでも間に合います!! 一緒に行きましょう!!」
俺は、悲鳴をあげる体を無理矢理起こし、立ち上がろうとした...
「ゲホ、ゲホ....」
...床に血、吐血した..
「そんな体じゃ無理だよ!!、お願いだから寝てて!!...ほら、わたしも足けがして歩けないし...」
見ると、片足だけ包帯が巻いてあった。

「無理させてください!!...天宮さんにどうしても最後の学園祭、楽しんでもらいたい...それに、山城祭を最後まで見届けるのも会長の役目なんじゃないですか?」

「か、神崎くん...」
俺は立ち上がり、天宮さんの前に背を向けてしゃがみ込んだ...
「歩けないなら、俺が背負います」
「で、でも神崎くん...けが..」
「会長さん、俺を困らせないでください...」
「う、うん....じゃあ」

天宮さんは、俺の背中に体重をあずけた...
体が悲鳴をあげる...が俺は、それを無理矢理引っ込めた。

「さ、行きましょうか!」

廊下に出ると、誰もいなかった...
「誰もいないですね...」
「この時間だと、みんな学園祭最後のイベントで、グラウンドにいるんじゃないかしら」

ガラス越しに見える時計は、午後5時10分を指していた。
「じゃ、グランド行きますか」

俺は、天宮さんを背負って、グランドを目指した...
幸い保健室は一階にあったので、階段を下るなどの、動作はなく、命びろいした...
靴を履き替え、外に出た..天宮さんは靴をはいていない..いや、片足包帯でグルグル巻きにされてるので、履けないと言った方が正しい。
...グラウンドに着いた瞬間、グラウンドにいた生徒全員が、こちらに向かって、走ってきた。

「神崎〜!!」
「会長〜!!」
そして、全校生徒及び職員は、口をそろえて言った.......

『ごめんなさい!!!!』

その言葉を聞いて、天宮さんは、俺の背中に顔をうずめてまた泣き出した...

「ごめんね..神崎くん、みんなに泣いた顔見せたくないから..このままでお願い..」
そう耳元でささやいた...背中が濡れて冷たい...

「分かりました..」

「いや、分かってもらえればいいんですよ...それより学園祭も最後ですから、みなさん楽しんでください」
背中で泣いている会長に代わって言った。

「神崎よく言った!!、よ〜し男共、胴上げだ〜!!!」
生徒の誰かが言った...
次の瞬間、背中から、天宮さんを引き離され、俺は宙を舞った...激痛がはしる..やばい、死ぬ...

「う、うわぁ〜!!!」
みんなが俺の異変に気づき、俺を下ろした...
「う、う...ハァハァ..ゲホッゲホッッッ」
...ドバァー...大量に吐血した..
周りは、血を見るとその場に立ちすくんで唖然としていた...
「神崎〜、天〜、天く〜ん」
生徒が密集している中から、聞き覚えのある声が、ちらほら聞こえる...

「お前らバッカじゃないの、神崎を殺す気?!!!」
俺の前に立ち、両手を広げる巫女少女
「神崎も神崎で『瞬身』の使いすぎで倒れるなんて、バカじゃないの!!...普通の人間なら、とっくに死んでるわ」
顔を赤くして涙を溜めながらいう...
「天...バカァ〜!!」
仰向けの俺に抱きつく芽衣...
「う、うらやましい...」
男共の声が聞こえる...
「それにしても頑張ったなァ〜、天くん」
抱きつく芽衣の後ろに亜希がいる
「『瞬身』というのは、なんなんだぁ〜....気になる、気になるぞ〜」
亜希の横でメモをとる相沢..
「神崎流の使い手ともあろうやつが、こんなざまかよ」
女子に囲まれている、遠野...

....俺は、気づくと目から涙を流していた...
俺をこんなに思ってくれる仲間がいる..
転校2日目...俺は大事な大事ななにかを、みんなからもらった...........