コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

白神の剣 21話 ( No.23 )
日時: 2010/09/09 17:13
名前: 皐月凪 (ID: VozPDcE.)

辺りはすっかり暗くなっている...
俺は、御園邸の門の前で見張りをしているSPに伝える
「ようやく帰られましたか...天様..梓お嬢様がお待ちです..急いでお戻りくださいませ!!」
門が開かれる...
「ああ、お勤めご苦労さん!!」
俺は、SPに挨拶をして、ダッシュで梓さんのところへ向かった。
御園邸の正門から、梓さんのいる本館まで500メートルほどある...遠い..
俺は、本館のチャイムを鳴らす...
「天ね、遅いじゃない...入りなさい」
カメラから俺が見えたのか、正門のSPからすでに連絡が入っていたのか、梓さんであろう声が言う。
俺は、扉を開ける...
「お、お邪魔します..」
「こら、ここは、あなたの仕える家なんだから、ただいま帰りました、でしょ」
「は、はい!!」
「まったく、一から教育しなきゃダメみたいね...執事長お願い」
「かしこまりました...梓お嬢様...徹底的に執事がなんたるかをたたき込みますので、少々、この小僧をお借りします」
黒い執事服が、筋肉ではち切れそうになっている、ムキムキおじさんがいう。
「ええ、徹底的にお願いするわ」
「あの...なんか梓さん、怖くないですか...」
「別に普通よ、それよりその呼び方やめなさい...私のことは、梓様と呼びなさい」
「あ、梓様...」
ってか、タメだよな...まぁ執事だからしょうがないか...
「その調子よ、執事長の言うことは、絶対..何があっても逃げちゃダメよ...分かった?」
「わ、分かりました...」
「ではゆくぞ、小僧!!」
「は、はい〜!!!」
なんか、このおっさんいると空気が張りつめるな...

そして、俺はおっさんに、御園邸別館の地下のある部屋に連れてこられた...
「まずは、お前に執事とはなんたるかを教える...」
それから何時間経っただろうか、おっさんは永遠にしゃべり続ける...
「...執事とはなぁ、やらされているのではなく、仕えさせていただいている...という信念が大切なのだ...」
あ〜...この辺でとめねぇと...
「あ、あの〜そのセリフ7回聞いたのですが...」
「ん〜..この辺にしておいてやろう...次は、おいしいお茶の入れ方だ...」
こうして、お茶の入れ方、掃除の仕方、シルクの生地のものの扱い、外客との接し方、などなど...終いには、経理まで教わった...
「小僧、初めてのわりには、なかなかやるでわないか〜」
「いえ、これも執事長様のご指導があったからこそのことでございます」
...げ、知らないうちに話し方まで、様になってる...
「ふむ、今日はここまでにしておこう...執事の心得忘れるでないぞ!!」
「はい!!」
別館を出ると外は、明るかった....って夜通しやってたのか.....!?
「おお、朝になっていたか...ほれ、小僧、梓お嬢様を起こしに行かんか!!」
「は、はい!!」
俺は、執事長と別れ、本館の梓様の部屋の前に来た....試しにノックしてみる...
「梓様、朝でございます...」
応答がない...入るしかないか...
「失礼します..」
そこには、カーテン付きのベットとところ狭しと置いてあるぬいぐるみ、高級な勉強机があった。
....そのカーテン付きのベッドで下着姿のまま眠る、梓様....
「梓様...梓様、起きてください、梓様!!」
...揺すっても、起きない...こうなったら...
俺は、男の欲望を抑えて、梓様をお姫様抱っこした..
「すみません、梓様...無理矢理起こさせてもらいます」
「あら、強引ね..そっちの趣味もあったの?」
「起きてたんですか!?」
「ええ、天が私の部屋ノックしたときからね..」
「だったら、すぐ起きてくださいよ〜」
「あら、無防備な私になにするか、見たかったの」
「梓様、俺だって男なんですから、襲われても知りませんよ」
「あら、こんな私でも襲ってくれるの?、嬉しいわ」
あ〜、襲う気うせた〜
俺は、梓様を下ろす。
「梓様、今日はシャワーはどうなさいます?」
「ふ、いきなり話題変えたわね...私が毎朝シャワー浴びることをなぜ知っているのかしら...」
「昨日の特訓で、執事長様から梓様のことは、すべて教わりました...」
「ふ〜ん...そう言えば、言葉使いも様になっているわね、でも学校では、普通に接してくれて結構よ...シャワー浴びるから、タオルと制服持って来なさい」
「は、はい!!」
「細かなとこは、まだまだね」
俺は山城学園の制服と、バスタオルを持って、バスルームへ向かった...
シャワーを浴びている梓様に扉越しに言う..
「梓様、制服とタオルおいておきますので、ごゆっくり...」
そして、梓(タメなのに梓様と呼ぶのは抵抗があるのでここでは、以降梓と呼ぶ)が、シャワーを浴びているうちに俺は、昨日執事長から習った、梓に対するお茶のいれ方を早速実践してみることにした...
まず、やかんにお湯を沸騰させ、すぐにいれる...
茶葉が開き、踊っているのを確認し、ティーカップにいれる...だが、梓は猫舌らしいので、氷を一欠片いれてかき混ぜ、ややぬるくしておくのがコツみたいだ.....なんだかんだやってるうちに、梓が風呂から上がったみたいだ...
「あら、お茶の準備...気がきくじゃない」
「梓様、今日は、マンダリンオレンジティーです..」
梓が、椅子に腰掛ける...
「頂くわ...」
「い、いかがでしょうか...?」
梓は、目を閉じて味わっているようだ...そして、ゆっくりと目を開け、笑顔になった...
「うん、おいしいわ..こんなにおいしいティーを飲んだのは、久しぶりだわ」
...梓がこんなに笑顔になったの、見たことない...ってか、梓...笑うんだ...
「お褒めの言葉、ありがとうございます」

この日の登校もリムジンだった....これからは、毎日になるのか......なにか忘れている...
「勉強!!!!!!」
「大きな声出してどうしたの?」
車内で向かいに座っている梓が言う...
「す、すみません...学力テストが近いというのに、まったく勉強してなくて...」
「あなたの学力じゃ、勉強しなくても特A確実じゃない...それとも、昨日の放送のこと...?」
...するどい...
「はい...そうなんです...だから、一位になるっていったんですけど、隠れ兵が潜んでましてね...」
「誰よ?」
「F組の遠野です...」
「ああ、女子に人気が高いあの人ね」
「あいつ、全国模試一位なんですよ...」
「あ〜、大変ね...がんばって」
ひ、人事〜...
そうこうしているうちに、山城学園に到着した...
クラス分け学力テストまであと6日...どうなるんだ...俺...