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Re:          ゆめをみる。 ( No.12 )
日時: 2010/08/28 10:18
名前: 椎香 ◆M4/Y.eOuE6 (ID: oYpakyoC)

01

蒼く透き通った空、きらきらと光る太陽、水飛沫をあげ、力づよく波を打つ海。
夏休みの午後、私は大きく背伸びすると、家に珍しくあったアイスキャンディーを右手に持ち、座れるような所を探した。
——いい所に大きな石があった。平らになっており、私はゆっくりと腰を下ろした。
肩まで伸びた髪の毛は、風に吹かれ小さく揺れた。
私はポケットに入っていたゴムを取り出し、たまたまゴムが二つあったので、二つ結びに緩く結んだ。
——「さと!」
後ろから聞こえた少し遠くからの声に、私は立って目を細めて見た。
「——…湊!結花!」
背の高い大人っぽいクール湊と、小柄でおっとり可愛い結花。二人はなんだか田舎には勿体ない。
私みたいな、華のない子は"田舎"という文字にぴったり当てはまる。
少したつと、湊と結花が少し息を切らせながら近くへ来た。それから、私を見て小さく微笑んだ。
「おお、二つ結び似合ってるじゃん!」
「さとちゃん似合ってるよー!」
全部、お世辞だと分かっていても嬉しいものは嬉しいと感じる。私は少しガッツポーズをした。
負けず嫌いの私は、二人とつり合うように、可愛くありたい。と思っていたのもあっただろう。
****
「あっ」
結花が小さく声を漏らした。——その後に結花の顔が少し赤くなっていたことは、私しか気付いてないだろう。
ふと気付いた。アイスキャンディーを食べるのを忘れていた。
私はとっさにアイスキャンディーを見ると、もう溶けていた。——これが最後のしるしだったのか。