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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ゆめをみる。 ( No.13 )
- 日時: 2010/08/26 07:01
- 名前: 椎香 ◆M4/Y.eOuE6 (ID: oYpakyoC)
02
「おお!結花じゃん」
後ろからの声に私と、湊は後ろを振り返った。
「——ひなた」
小さく呟く湊の瞳は、なんだか少し寂しそうで、悲しそうで。その瞳を見てしまった私は、なんだか虚しくなった。
「———…結花とひなたって付き合ってるんだよね」
湊の寂しげで、悔しげで、切なげな顔は、湊らしくなくて、私は見てられなかった。
二人がじゃれあっているのを見た湊は「幸せそうだね!こっちが幸せになる!」と苦笑いした。
——湊が初めて恋した相手はひなたで、結花もひなたが好きで、ひなたは結花が好きで。
なんて切ないんだろう。今の私は、湊の気持ちを落ち着かせてあげることしかできない。
慰めてあげたいし、優しく包んであげたいのに、あげる言葉が見つからない。これほど虚しい事ってないよね?
結花と、ひなたの幸せそうな笑顔を見ていると、私まで寂しく切なくなってきた。
結花と、ひなたの幸せは願いたい。願う。願うとも、願うけど————
でも、そんなに切なそうな湊の顔は一番見たくなかった。
ひなたの結花しか見えてない、瞳とか、声とか、全部全部、湊には分かってるんだよね。こんなに切ない事ってない。
———「おおー湊ー、さとー!!」
またまた、後ろからの声に、私達二人は後ろを振り返った。
「夏目かあ………」
夏目は、大きく手を振り、"俺だよ!"と大きく叫ぶ。
私達二人は"ぶー…"と残念な顔と声をした。そうすると夏目は「"夏目かあ…"とはなんだ!」と笑って怒った。
私と湊は顔を見合わせ、ぷっと声を出し、微笑んだ。
…——良かった…湊が笑ってくれた。嬉しくって仕方がなくって、私はもう一度微笑んだ。
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