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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ゆめをみる。 ( No.22 )
- 日時: 2010/08/28 14:37
- 名前: 椎香 ◆M4/Y.eOuE6 (ID: oYpakyoC)
06
——あんな、夏目に夢中そうな顔。嘘・うそ・ウソ…私は幻覚をみたような感覚に墜ちた。
明るく、サッカー少年で人気者のひなたに、小柄で可愛い結花は驚くほどに似合って、眩しかった。
「あっ、さと!俺等、似合ってんだろ!」
ひなたに声をかけられた私は、なんていったらいいか分からず、偽りの笑顔を作り、逃げてしまった。
湊と、なんだか二人きりで話したくなり、呼ぼうと思ったが、夏目と楽しそうに話す湊を今止めると、悲しい顔をするかもしれないと私は一人で屋上へ向かった。
——キラキラ光る太陽は、今の私には眩しすぎて、なんだか腹がたった。
「……はぁ…」
ため息をつく私は屋上でも一番風が来る、一番眺めの良い所に座った。
ここでは陽の光がとても気持ちよく感じる。時たま来る静かな風の音がとても心地が良かった。私は自然と目を閉じた。
————「さと?」
頭の上、いや私の顔の上から聞こえる声。私はとっさに目をあけた。
「湊!」
湊はにこっと微笑み、私の隣に座った。——私は再び寝ころんだ。
「ねぇ、湊って夏目の事好きなの?」
「かもねー…でも好きにはならないかな。夏目はさとの事が好きだから」
湊の顔が少し歪んで見えた。それと同時に視界がぼやける。何か分からない、得体のしれない何かに私は今、泣かされている。
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