コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 萩原さんは今日も不機嫌 ( No.13 )
日時: 2011/09/03 00:43
名前: トレモロ (ID: vQ/ewclL)
参照: http://blog.goo.ne.jp/roki000

『第二話 萩原さんのお仕事』2‐3

「つまり、君は萩原後輩の事が知りたいが為に、この同好会に入りたいってわけね?」
「まあ、端的に言えばそうなりますね」
ようやく落ち着いてきた副会長は、いつもの定位置である一番端にいる私の隣に座って藤堂に質問する。
ちなみに会長はその向かい側だ。こうやって座ると六人で円を作って座っている事になる。
「そうか〜、君はそんなに藤堂後輩の事を愛しちゃってるんだね!」
「はい! もう結婚を視野に入れるところまで愛しています!」
……。
イラッ!
「……、でも萩原後輩の君に対する印象は悪いみたいだけど?」
「それは照れってやつですよ!」
「なるほど〜〜」
こいつは本気でそんな事思ってんのか?
人が人を好きになるのには順番ってものがあるんだ、今のところ藤堂はその順番を、自らの行動に照らし合わせていない気がするんだが。
私は何だが盛り上がっている二人を無視して、会長の方に言葉を向けた。
「会長」
「ん? なんだい琳奈ちゃん」
「今日の『仕事』の内容をまだ聞いてないんですが」
「ああ、そうだったね」
ごめんごめん、と言いながら会長は少し疲れた笑顔をこちらに向けた。
この笑顔はこの人独特のものだ。誰かさんの所為でいつも苦労してるからな。
ご愁傷さまだ。
「ええ〜と、今回は公園での仕事だね」
「また公園ですか?最近多くありません?」
前回の仕事も公園だった、あの時は公園の遊具に書いてあるいたずら書きをふき取る仕事だったな。
「そうだね。あそこは最近治安が悪いから。でも、今回は治安と関係ないよ? だから、安心して?」
「そうですか……」
それなら草刈りとかだろう、雑草ってのは成長スピードが無駄に速いからな。
「それで僕からも君に質問したいんだけど、いいかな?」
なんだろう、会長が私に質問なんて珍しい。
私は空になったコップに何時まで経っても気づかない、浅木に催促しようと思ったのだが。
浅木は木内と共に仲よさそうに。
「猫って可愛いよねぇ〜、特に仰向けに倒れてゴロンとしてるとことか〜」
「ああ〜、確かにあれは可愛いですよねぇ〜」
とか笑顔で会話しているので、仕方なく自分でテーブルの中央にある麦茶のポットを引き寄せて、セルフサービスでコップにいれた。
「それで何でしょうか会長」
私はいれた麦茶を口に含みながら尋ねた。
「いやね、聞きにくい事なんだけどさ、君って……」
そこで言葉を区切って、言いにくそうに次の言葉を紡ぐ。

「奏君と付き合ってるの?」

ブッゴハァッ!!
母さんゴメンナサイ、私女なのに口から麦茶吹き出してしまいました。
「な、何を言っているんですか会長! んなわけ無いでしょうが!」
私は少しひきつった無表情で会長に叫ぶ。
「ご、ごめん。でも琳奈ちゃん奏君をみる目が、ちょっといつもと違う目だったから……」
それは不快感を表す目です!
とは、私は言えなかった。何故なら。
「ニヤニヤ」
何を誤解したのか、副会長が私を見ながら自分で『ニヤニヤ』とか言いながらこっちを見ていたからだ。
ちなみに藤堂は疲れたのかぐったりしている、副会長の相手は初対面だと疲れるからな、はじめは話が合っていたみたいだが。
それはそうと、ちょっと大声で叫びすぎたか?だが、会長と私の席は離れているので、彼と話すと自動的に彼女にも伝わってしまうのだ。
といううか、期待を裏切るようで悪いですが、私の考えは今副会長の考えているのとは全く違いますよ。
「じゃ、じゃあそろそろ『仕事』に行きますか!」
浅木がひきつった笑顔で言う。それはフォローのつもりか? 随分とむなしい感じになっているが。
「そうね、もう行きましょうか」
木内もそれに乗っかる。おまえらの方がよっぽどお似合いだ。
「解ったわ、では藤堂後輩の初めての萩原後輩との共同作業に行きましょう!」
そう言いながら、会室のドア開け放つ。
どうでもいいが——いや全然良くないが、言い回しがとてつもなく嫌だった……。