コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 萩原さんは今日も不機嫌 ( No.2 )
日時: 2011/09/03 00:28
名前: トレモロ (ID: vQ/ewclL)
参照: http://blog.goo.ne.jp/roki000

『第一話 萩原さんの日常』1−1

私の平日の朝は人間目覚ましによって始まる。
その目覚ましには二種類あって。
一つは弟、二つ目は姉だ。
姉型目覚ましの場合非常に気持ち良く起こしてくれ、爽やかな目覚めと共に朝日を感じることができるのだが。
弟型ははっきり言って不良品であり、私の部屋に入ってくるなり私の体を上下にゆすり。
「起きろー、バカ姉貴ー!」
と何回も繰り返してくるのだ。
これでは爽やかなんて言葉はどこかにすっ飛び。
かといって起こしてくれたのに怒るのも筋違いな気がして。
仕方なく不機嫌な面を顔面に張ッ付けて起きる羽目になるのが常だった。

その日は姉型だったのだが私の顔は不機嫌だ。
なぜか?
決まっている、昨日のアホな告白のせいだ。
今日は平日であり、学校は臨時休業などではなく。
よって学校に行くとあいつに会わなくてはいけない。
それは私に不機嫌を増長させる結果となるのは地球に重力がある事並みに当然だった。

私の家は二階建てで、私の部屋は二階にあり向かいには弟の部屋で、隣に姉の部屋がある。
なので先に下りってった姉を追い、二階から一階に続く階段を下りていると、私の食欲を誘う香りがした。
今日はパンだな。

「ねーちゃんおはよー」
弟の舌ったらずのあいさつを聞きながら。
「姉さん、母さんおはよう」
『おはよう』
ちょっとした悪戯心で無視してみた。
といいうか姉と母はなぜ同時に「おはよう」と言えたんだ?すごい意思疎通能力だな……。
「ねーちゃん、俺のあいさつを無視すんなよ!」
私の思考を邪魔する無粋な輩が何か言っている。
しょうがないからパンが焼けるまで付き合ってやるか。
「我が弟よ、おまえは勘違いしている」
「勘違い?」
「そうだ、私はお前を無視した訳ではない。単純にお前の声が聞こえなかったのだ」
「嘘でしょそれ……」
弟が冷たい目で見てくる、私はそれに気付かないふりをして続ける。
「嘘ではない、それでは貴殿は私が嘘をついたと云う論理的証拠を持ち合わせているのか?」
「ろ、ろんり?」
今年に入って小四になった弟は論理という言葉を知らなかったようだ。
ついでに説明しておくと、私は高二、姉は大学三年だ。
母は……歳関係の話をすると怒るのではなく悲しい顔をするので、するのはやめとこう。
弟が頭の上に?マークを浮かべ始めた頃朝食がテーブルに運ばれてきた。


『行ってきまーす』
三人で声を合わせて母に恒例の挨拶をする。
「はい、行ってらっしゃい。気をつけてね」
母は顔に笑みを受かべて私たちを玄関で見送ってくれた。
途中の道までは三人とも一緒だが、行くところが違う以上。私たちは別々に目的地に向かうことになる。
弟と姉に「じゃあね」と言って、私は一人憂鬱な学校への道程を歩く。
「ああ〜〜、あいつに会わなきゃならんのかぁ〜」
思わず独り言が出てしまった、まあ周囲に人はいないから大丈夫、
「あいつとは誰だ?」
「そりゃ、昨日の……へ?」
いつの間にか隣に人がいる。
ギギギという擬音が入りそうな動きで顔を隣に向ける。
「い、いつの間に」
そいつは私の憂鬱の原因だった……。