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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: しろべに。 ◆キャラ募集中◆ ( No.19 )
- 日時: 2010/10/25 20:46
- 名前: 卵白 (ID: lTlVXzN9)
◆第八話
「ねぇ…本当にかりん、大丈夫?」
「…大丈夫よ。心配しないで」
ぎこちない笑顔を作ると、葵は少しだけほっとした表情になった。
彼女の名前は魚海葵。
背の高い彼女に見下ろされるような格好で話すのはなんだか微妙な気分だった。
「だってさ、授業中倒れたんでしょ?心配するよ」
「そんなたいしたことないって」
「…でもやっぱり最近かりんいっつも疲れてる感じするしさぁ」
「そうかな?」
「うん!するよ!あ、もしかして寝不足?」
「…そうかも。昨日塾だったし」
「そっかぁ、ちゃんと寝ないと駄目だよ?」
「はいはい。葵は心配性なんだから」
嘘ばっかり。
昨日は塾なんてなかった。
心の中では本当の事を言いたくてたまらなかった。
———母や姉たちは私に家の仕事を押しつけて、
自分たちはモデルだとか言って遊んでばかりいるのよ!
でも、そんなこと言える訳がない。
それがもし警察に知られたら、母は必死になってその事実をもみ消すだろう。
自分の名前に、傷がつくから。
そして、きっと私はもっと酷い扱いを受けるだろうということは安易に想像できた。
「大丈夫、大丈夫だから」
自分に言い聞かせるように言った。
学校では友達なんてほぼいないし、
唯一友達と言えそうな葵にだって、本当の事は何一つ言えない。
家に帰ればまた仕事。
誰にも食べてもらえない食事を作る。
そして自分の物ではない服を洗い、アイロンをかけて。
私は何のために生きているんだろうか?
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