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Re: 真白‐masiro‐ ( No.325 )
日時: 2010/10/17 17:55
名前: 杏樹. (ID: W3aU.Uy/)

「———……沙耶……様?」


沙耶様の目は、普段以上につり上がっているように見えて……


———……表情も、どこか曇っているような……。


「アンタは……雅玖の事、どう思ってるわけ?」


———……え? な、七瀬の事……?


「ど、どう思ってるかって……そ、そんな事訊かれても……」

「……早く答えなさいよ」

沙耶様はキッ、と私を睨む。



七瀬の事……。


———……私は、七瀬の事……どう思っているんだろう?


最初は……私の学校生活を見事にぶち壊した、最低最悪なヤツだと思ってた。

けど、本当は七瀬が私を無理矢理教室に連れて行ったのも、何もかも……


……全部、『私の為』にしてくれてたんだって気付いた。



————……それで、何?


私は七瀬に感謝してるよ……それは分かる。

けど……だから、何なの?



分からない……分からない。



「……もう、近づかないで」


———……


再び頭上から、沙耶様の声が聞こえる。

私はハッとして顔をあげた。



「知ってる?


アンタと話してる時の雅玖は、普段他の女子と数少ない言葉を交わしてる時より……穏やかで、優しくて…




———……それを見て、気がついたの。


“東雲真白”は……私と沙奈にとって、ただの邪魔者でしかないって」



私は、邪魔者?


「あたしと沙奈は、ずっと雅玖が好きだった。……恋愛対象としてね……


私達、なんで兄妹なんだろうって……毎日悩んだの。



唯一安心できたのは、“ライバル”がいないって事だけ……だったのに————……。



アンタの存在で、これ以上私と沙奈を苦しめないでよ—————ッッ!!!!」



……私の存在は……邪魔。


————……その言葉が、酷く私の胸に突き刺さった。


「アンタなんて、いなくなればいいのに…跡形もなく消えればいいのよ」



……——あの、それは死ねって意味ですか? って、今はそう言う事じゃなくて……


私はゆっくり立ち上がり、沙耶様の顔を恐る恐る覗きこんだ。


すると……


「—————……なんて、言うとでも思った?」



————……は? ……は!?



ちょ、今、え、沙耶様……?


「あたしが本気で苦しんでるって、信じてたの?」

沙耶様はそう言い嘲笑う——……。



「今のは……私の感情を大袈裟に言い表しただけよ?」


いや、あの……状況が理解できないんですが。


「え、あの、沙耶様?東雲真白なんて消えちゃえばいいのに……って話じゃなかったんですか?」


「まぁ、そうだけど」


—————……は? ますます意味が分からな……


「アンタの事、勿論好きじゃないけど……



          嫌いじゃ、ないわよ」


——……だから、意味が分からないってば……。


沙耶様はくるっ、と背中を向けた。


「ほら、帰るわよ? いつまで突っ立ってんの」


「あ、はいっ、ごめんなさい……」



けど、結論……さっきのは私をからかってただけで、

私は別に……嫌われてはいないって事?




そう思うと、何故か……凄く安心した。


****************


「ってか、なんで沙耶様は私を隠し部屋に呼んだんですか?」


「アンタの本音が聞きたかった、それだけ。


……まぁ、結局聞けなかったけど……別に良いわ」


—————……



——……ふと……思った。


七瀬も、沙耶様も、沙奈ちゃんも……


そんなに悪い人じゃない……のかな?


沙耶様編、END* 【変な終わり方でごめんなさい…;;】

【って、“好き”とか“嫌い”とか、あっちの意味じゃないですよ? こっ、こっちの意味ですよ!?←】