コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 1話 扉と鍵*3* ( No.9 )
日時: 2010/09/25 11:18
名前: 杏樹. (ID: W3aU.Uy/)

その後。

ズルズル……

「ねぇ、ちょっと……苦しいってば!! う゛ぐ……」

ズルズルズル……

「大人しくしてろって言ったろ? 
というか予鈴鳴るまでに教室に来なかったお前が悪い……いいから黙れ」

「黙ってられるかぁぁぁぁぁぁぁ!!」

あの後私は七瀬に強制拉致され……

どこに連れて行かれるか分からないけど、七瀬にズルズル引きずられている私……。

マジで、どこに連れて行かれるんだ……?

普通に教室ー、とかならまだいいけど……

…体育館裏とか?体育倉庫とか?……私を突き落とすために、屋上とか……?

そんな事を考えていると、だんだんと血の気が引いていく……

冗談抜きに、真面目に怖いんですけど……っ!!

「よし、ここだ」

七瀬の足が止まる。それなりに覚悟をして、恐る恐るココがどこなのか確認してみた。

さっきまではまわりを見る余裕なんかなかったから……

「……ん? え、ここ……って、」

—————…2年Aクラス。…普通の教室——……!

はぁ……助かった……。どうやら私は無事なようです……。

……でも。

ドアの目の前に立って、私は硬直してしまう。

……どうしよう……助かったとはいえ、やっぱり教室行きたくないし……。

「ほら…自分で開けろよ?皆待ってるから」

『皆が待ってる』

そんなわけないじゃん……だって私、入学してから1回も教室行ってないんだよ?

入学式だって途中で具合悪くて早退したし……

1年のときは生徒と一言も交わさなかったし……。

誰も私のこと知らないに決まってるじゃん……。

「早くしろ…授業始まる」

けど……けど……

このままじゃ、いけない気がする。

3年間……高校に行ってもずっと保健室登校だったら……?

もし、今この扉を開けて……私にはじめての友達ができたら……?

……チャンスは、今しかない気がした。

「…分かったよ…開ければ、いいんでしょ…?」

私はゆっくり……少しずつ、ドアを開けた。

ガラ……ガラガラガラ……

その瞬間……

「はじめまして、東雲真白ちゃんっ!!」

たくさんの生徒の声と……クラッカーの音がする。

「……え? 何……コレ……?」

目を丸くして驚いている私。

そんな私を見て、七瀬はクスクス笑っている。

「真白ちゃんっ♪会いたかったー!!」

……え?『会いたかった』……?

「なっ…なんで私の事、知ってるの…?」

「当たり前でしょ!?クラスメイトじゃんっ!!」

クラス……メイト……

こんな事、今まで無かった。

小学校の全6年間……それと、中学1年のとき……私の名前を呼んでくれた生徒なんていなかったし……。

何より、『クラスメイト』と認識されていることが嬉しくて……

自分の名前を知ってる生徒がいるのに、すごく感動して……

本当嬉しくて、泣きそう……   ……けど。

「ほら♪授業始まるよ!!真白ちゃんは七瀬くんの隣の席だから!!」

……は?何、私…七瀬の隣?…マジですか…?


「ほら!!早く座って♪」

その子は私を席まで案内してくれた。

とっても…嬉しいよ?感激だよ?

けど…けど…っ……!!

「お前…突っ立ってないで早く座れよ」

七瀬の隣の席なんて…

「人の話、聞いてんの?早く座れって言ってんだよ」

私…ストレスで死んじゃうんじゃないかしら…