コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 第二話:友達 ( No.73 )
- 日時: 2010/09/15 23:05
- 名前: 蘭*。* (ID: ikU4u6US)
一之瀬拓也に助けてもらってから早一ヶ月。
早朝の教室で奏音は本を読んでいた。
「ういーっす!おっはよー!!」
あまりの大きな声にびっくりしてドアの方を振り向いてみると…。
「うっ!!ゆ…幽霊…!!」
そこには金髪の目つきの鋭い女子—坂下みちるが眉をひそめて立っていた。
「お…おはようご…ざいます…。」
「お…おは…ってうわああああああああああああ!!」
「ど…どうしたんですか?」
するとみちるは奏音の肩を指差した。そこには…
「あ…毛虫…。」
奏音は肩にくっついていた毛虫を優しくつかみ、窓から逃がしてやった。
「あんた毛虫大丈夫なの!?」
「あ…はい。基本的には。でも蛇とか爬虫類は無理です…。」
そこでみちるは吹き出した。
「爬虫類かよ!!!!そんなモンあたりまえじゃん!!あんた超ハズれてるよ!!あはははは!!」
奏音は段々目頭が熱くなってきた。
今まで自分の話に乗ってくれる人なんか居なかったのに…。
一見冷たそうな印象もあるみちるだけど、実はこんないい人だったなんて…。
「ん?何?あたしの顔になんか付いてる?」
「い…いえ!!坂下さんはいい人だなあと思って…。すいません、じろじろ見つめてっ!!」
「まじ??あたしいい人だなんて言われたの久しぶりだなー!!あんた案外イイ奴じゃん!!」
い…イイ奴…?
こっちこそいい人だなんて言われたの、初めてだよ…。
奏音の涙のダムがついに決壊した。
「う…うぅ…ありがとうございます〜〜〜」
「おっおいっ!!泣くなよ〜〜〜うぅ…っ」
なんとみちるまでもらい泣きし始めた。
二人で泣きあっていると、教室に誰かが入って来た。
「おは…ってみっちー!?…と幽霊!?何泣いてんの!?」
入って来たのは金髪に、ピアスをキラキラさせている女子生徒—桜井彩香だった。
「あややん…うぅ…っ」
みちるが泣いていたワケを話すと…
「なーんだっ!!あはははは!!あんたもみっちーも相当ヌケてるよ!!」
「…///」
「でもあんた、タダの地味なヤツと思ってたけど、イイ奴なんだね!!」
そこでまた涙腺から涙がこみあげてきて止まらなくなった。
「これからよろしくな!!幽霊!!」
彩香とみちるの笑顔がまぶしい。
—私、いつか友達になれるかな?
ふいに、そう思った—…。