コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: rainy blue...... ( No.27 )
- 日時: 2010/09/19 18:46
- 名前: 美純 ◆dWCUS.kIT. (ID: kQLROmjL)
第二章 涙の空。
叫びたい。声をあげて泣き続けたい。……ねえ、教えてほしい。
雨上がりの空には綺麗な虹がかかりますか?
どんよりと、雲が立ち込めたままですか?
お願い、助けて。
そう叫ぶことしかできない僕たちは、ただ前を見据えて待つしかない。
——たとえ、
涙の雨が頬を打ちつけようとも。
。+*.+・,*
「おい、奏」
「うっさい、眠いんだ俺は」
「即答すんな。首絞めるぞ」
若葉にたたき起こされた俺は眠い目をこすりながらしぶしぶ起き上がった。此処で死ぬのは惜しい。そして、その会話をくすくすと笑いながら見ている女子が約一名。
「あははっ、本当に二人の会話って見てて飽きないよっ」
榎並逢来だ。逢来は最近よく笑うようになった。と、皆が噂している。それは劇的な変化で、不思議なことに前までの悪い噂はほとんど流れていなかった。
「う、うっさい。榎並は関係ねーだろ!」
若葉はまだ噂を気にしてるみたいだ。だけど、前みたいな怯える目はしなくなった。逢来の目が柔らかくなったからだ。それに……
「榎並さん、正輝の首絞めちゃえば? 神楽も叩き起こされたみたいだしね」
今ではクラスの女子も逢来に話しかけるようにもなった。俺は俺で、それはかなり嬉しい。
「いやいやいや、榎並に絞められるとか最悪……すみません冗談ですっ! ちょっとした冗談だって……!」
で、只今若葉は逢来に首を絞められてるところだ。とりあえず、放置しておこう。
「ちょ、無視はないだろ!? おい奏——」
「図書室行くから、部活終わったら起こしてね」
「じゃあ、助けろよ!」
突っ込まれたけど、俺が図書室に行くときは必ず逢来もついてくる。若葉がそれに安堵の表情を浮かべていたと言うのは後で聞いた話。
逢来は首を絞めるのを止めて、代わりに若葉の腹にストレートパンチを喰らわせて、トコトコと俺の後ろをついてきた。振り向くと、変わらず一メートルの幅を保って大きな目で俺を見つめていた。
その目には心なしか悲しみがこもっているように見えた。
その目は、何を信じているんだろう。