コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: rainy blue...... ( No.28 )
- 日時: 2010/09/23 17:45
- 名前: 美純 ◆dWCUS.kIT. (ID: kQLROmjL)
002
「ねえ、奏。奏ってばっ!」
「……何」
何じゃないよ、と俺の右ポケットを指さした逢来。あ、俺寝てたんだ。と、今さらながらに気が付いた。
「あ、ケータイ? って若葉か」
右ポケットに入っているケータイが、メールが来ていることを示していた。開くと、短い文が絵文字もなしで綴られていた。
〝お前に逢いたがってる奴がいるから早く正門に来い〟
……俺、悪い事したっけ? 俺の知り合いは若葉の知り合いでもあるから、若葉が知らない奴はほぼ初対面のはずなんだけど。まあいいや、とりあえずいかないと。
「悪い、急用だって。何か呼び出された」
「そっかあ、モテるね奏ー」
誰からのメールだとか内容はとかあれこれ聞いてこないのが逢来の良い所だ。鞄を持ち上げた俺を見て、鍵を持ち上げて振って見せてきた。
「じゃあ、鍵は私が返しておくね。また明日!」
「おう、また明日な」
ひらりと手を振って俺は図書室を出た。一抹の不安と、不思議な期待を胸に抱いて。
「あっ、奏! こっちだよ!」
校庭を出て正門近くまで来ると、若葉が疲れたような笑みを浮かべてこちらに走ってきた。
「なあ、あいつ俺苦手なタイプだわ……」
じゃあな、と言ってふらふらと校庭に戻って行った。正門を見るとショートカットの俺らと同い年位の女子が仁王立ちしていた。案の定面識はない。
「あ、やっと来た。待ちくたびれたぞ」
喋り方は男みたいだ。しかも前から知っているみたいに。でもさばさばした奴は嫌いじゃない。
「で、なんか用?」
「じゃあ行くぞ」
……話がかみ合わない。何気に睨まれてるし。俺、恨まれるようなことしたっけ?
とにかく、ずんずんと先に歩いていく女子を黙って追いかけることにした。あ、名前聞いてない。
「なあ、お前名前は?」
「……普通は自分から名乗るだろうが」
「呼び出したのはお前だろうが」
まず俺の事知ってるから呼び出したんだよな。何か理不尽じゃねえ?
「江袋瑞希。瑞希でいい」
自己紹介の後すぐ学校近くの公園についた。ベンチが一つと大きい楠があり鬼ごっこもできなさそうな小さな、殺風景な公園。瑞希はベンチに腰かけたから俺も隣に座った。
「あんた、最近逢来と仲いいのか」
「は? ……お、おう」
聞き返したら睨まれたからとりあえず返した。何で俺敵対視されてんの? ってかなんで瑞希は逢来を知ってんの?
「あたしは逢来の幼なじみ。で、今日はあんたに話がある」
何処か、違和感があった。瑞希の声が明らかに鋭くなって、それでいて泣きそうな声だった……気がする。
「逢来に…………近づかないでくれ」