コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: ————ねぇ、笑って。 ( No.15 )
日時: 2010/09/12 20:27
名前: 壱夏@ (ID: Dfaev/X/)
参照: http://__________________

@.006話


   帰り道。私はずっと黙ったままだ。
   幸せな時間なのに、...一緒に居るのが辛い。
   そんな私を心配そうに連夜は見ている。
   
   「笑美...どうかした?」
   寂しそうに私を見る瞳が切ない。
   でも今は...。傍に居たくない。居てほしくない。
   妹として傍にいるなんて辛すぎる。
   私は瞳の中に涙を溜め込んだ。
   きっと瞳を閉じたら止まらなく涙は溢れるだろう。

   「ねぇ、...連夜」
   「ん、何?」
   私が帰り際初めて口を開いた事に連夜は嬉しそうだった。
   やめて、笑わないで。私に向かって微笑まないで。
   今は一緒に居るのが辛いの。だから———

   「しばらく____そっとしておいて。話さないで。傍に居ないで」

   ———微笑まないで。
   私の衝撃的な言葉に連夜は目を見開く。
   ねぇ、何で?何でそんな傷ついた顔するの??
   〝分かったよ〟って笑ってよ。私の我侭に応えてよ。
   だけど連夜は

   「何で?俺笑美に何かした!?」
   ううん。何もしてないよ。
   だけどどうか許して私の身勝手な我侭を。

   私ハタダ逃ゲタイダケカモシレナイ。
   雨が降ってきた。小雨だったのが次第に激しくなっていく。
   嗚呼、丁度良い。涙が隠せる。

   「——笑美、泣いてるの...?」

   だけど隠せなかった。隠せていたのかもしれないけど、
   きっと連夜には気付かれたのかもしれない。
   笑わなきゃ、笑うんだ。笑美。

   「そ、な…事な...いっ」
   駄目だ。声で悟られる。だけど連夜は口を閉じたままだった。
   
   「分かった。笑美が俺と居るのが辛いなら、俺はそうするよ」

   微笑んだ。悲しそうに。そして、
   そして雨の所為かも知れない。錯覚かもしれないけど——

   「っ!れん———ッ」

   連夜の瞳から流れる一粒を見たんだ。
   だけど連夜はその場に居ない。
   ———私はまた独りぼっちになったんだね。