コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re:         星恋   ★ ( No.17 )
日時: 2010/09/15 18:29
名前:  苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: 4n3MlAWB)
参照: http://happylovelife612.blog27.fc2.com/





 第3話



 登り始めてから、1時間あまりで頂上に到着した。
 すでにたくさんの人が到着しており、それぞれ固まって昼食をとっていた。
 私の家族は、優志の家族と一緒に、お弁当をたべることになった。


 私はできるだけ、優志から距離をとって、お弁当箱を開けた。
 卵焼き、からあげなどなど、私の好きなものがいっぱいはいっている。
 私は、それらをおはしでつかむと、そっと口の中に運んだ。


 「香織ねえちゃーん」


 近くで、私の名前を呼ぶ声がした。私は、そっとその声のほうをむく。
 辰雅だ。
 辰雅は、優志の弟で、末っ子。康義とは同い年で、すっごくかわいい。
 そして、私のことを「お姉ちゃん」なんて呼んでくれるもんだから、もう……ね!


 「なぁに?」
 「お菓子あるよ、たべるー?」
 「たべるたべる!!」


 私は「お菓子」というキーワードに反応し、辰雅の横まですっとんだ。
 そして、袋の中からおかしをあさる。……このチョコはおいしそうだ。
 私はそれをとると、袋を開けて食べた。あー、おいしい!! やっぱチョコって最高!!

 「おいしい? ねーちゃん」

 そういったのは、康義。私の顔を覗き込んで、そういった。
 私は「おいしいよ!」とかえす。


 

**


 昼食をおえると、園児や付き添いの小学生たちは、頂上で遊び始めた。
 なかにはボールを持参する人までいて、親はそのそばで固まっておしゃべりしている。
 私はとくに遊ぶ相手もいないので、頂上の隅にある、柵に体重をかけて、景色を眺めていた。


 はぁっ、とはくたびに出る白い息。……はやく春にならないかな、そうおもった。
 春になれば私も5年生だ。5年生になったら、もっと友達増えるかな?
 いろんなことを考えていた、そのとき、背中を思いっきり叩かれた。


 「いった! なにすんのよ!」
 「お前さみしー奴だな」


 こういう嫌味をいちいちいいにくる、優志。私は「別にいいじゃん」と返す。
 すると優志は、突然笑い始めた。なにがおかしいのか、腹をかかえて笑っている。


 「……お前さ、女の友達いんの?」
 「いるし、逆に男の友達いないし」


 なんで急にそんなことをいうの、聞きたかったけど、やめた。
 どうせこいつにきいたって、ろくな答えかえってこないもんね。
 私はチラッと、何故か隣にいる優志の顔をみた。思わず、胸がうずいた。
 いつものいたずらな顔じゃなくて、すごく……真剣な顔だったから。


 「……俺って、お前からみたらどうみえる?」
 「ただの馬鹿にみえる」


 私は、冗談でかえした。なにいってんのこいつ、寒さで頭がイッちゃたのだろうか。
 しかし優志は、真顔で私に質問攻めをしてきた。

 
 「う〜んだから、マジで答えて。俺って、どうみえるよ」
 「……オタクっぽい容姿、邪悪な性格、最悪」


 優志の嫌な所をあげたら、キリがなかった。しかし、急にそんなことをきいてどうしたんだろう。


 「……俺は、もうお前の友達じゃねぇのか、そうか、そうなのか」



 優志はそれだけいうと、去っていった。私は優志を呼び止めようとしたが、何故か声がでなかった。
 なんでだろう、すごく胸が締め付けられる。私、優志を傷つけた……?
 でもあいつだって、私に酷いこといっぱいいってきたし、お互い様じゃん。
 

 どういうことなの、ねぇ。優志。