コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 星恋 ★ ( No.47 )
- 日時: 2010/10/15 18:06
- 名前: 苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: zc76bp3U)
- 参照: http://happylovelife612.blog27.fc2.com/
第11話
「おい、2人ともきけっ!!」
レクがおわって、皆が各自の部屋に戻る途中であった。
森野が、私と絵磨に小声で声をかけた。
森野は周りをきょろきょろしながら、人気のないところへ、私達を連れ込んだ。
「どうしたの?」
「ああ……実はな、実は、望が……告白を決意したんだ」
「えっ!!」
あの、へタレの望が告白なんて考えれなかった。絵磨は「本当?」ときく。
森野は真剣な顔になり、話をはじめた。
「あいつさ、やっぱ気付いたんだよ。このままじゃいけないって。
恥ずかしいけど、頑張って告白するんだってさ、よく決意したもんだよな」
森野のその発言から、どうやら本当のようだ。私は「いつ告るの?」ときいた。
「……実は今日」
「今日って!? もう8時だよ? これからお風呂なのに……」
「だからそれがチャンスなんだよ」
8時ごろになると、1組から順に入浴をはじめる。
そうなると、ざわざわしはじめるので、そのすきに、絵里那が沙羅を呼ぶらしい。
ちなみに、絵里那と沙羅は同じ班だそうだ。
「じゃあ、3組がお風呂いってるあいだに……ってことだね?」
「そういうことっ!!」
「けど皆にバレるでしょ?」
「だーいじょうぶ! ここにつれてくるから」
なるほど、ここなら安心だ。静かだし部屋からも離れている。先生もこの近くにはいない。
私と絵磨もみにきていいといわれたので、いくことにした。
**
7時55分。
私達は部屋でなにするでもなく、ただゴロゴロしていた。
皆は、お菓子をたべたりまんがをよんだり、思い思いのことをしている。
このすきに、部屋から抜ければ、バレないだろう。
もし帰って来たときにきかれても、別の部屋にいってたといえばいい。
「絵磨ーそろそろいこっか」
「だね」
私と絵磨は、あの人気のない場所に向かった。すでに、怜緒と優志がいた。
ってか、この2人もいるのかよ……。しばらくすると、絵里那につれてこられた、沙羅がきた。
そして、またしばらくして、森野につれられた、望がやってきた。
「じゃ、俺たちはここで!」
空気をよんで私達は、物陰にかくれることにした。
沙羅は無表情のまま、俯いている。望は顔が真っ赤であった。
「あ……あのぉ、さっさっあっさつあっ、沙羅さぁ……ん」
「ぷーっ、噛んだ」
「静かに!」
森野の言葉に、絵里那が渇をいれる。
「……何?」
沙羅もこの空気から、感づいてはいるようだが、一向に表情をかえない。
「あのっ、そのっ、オレ……沙羅と、付き合ってくれたらうれしい、なんて」
望が、いがいとサラリといえたことに、私達は驚いた。
沙羅はまだ、表情をかえない。
望は、ついにうつむいてしまった。そして、そのまま私達のところへきた。
「なにやってんだよ望! 逃げんな」
怜緒が、望のうでをつかむ。
すると、沙羅がゆっくりとこっちにちかづいてきた。
「いいよ」
沙羅は、それまでになかった、とびきりの笑顔を望にむけた。
私達はとたん、立ち上がり、拍手をした。望は信じられない、という顔をしている。
「おめでとー! カップル誕生ー!」
絵里那が、はしゃいで、沙羅に抱きつく。優志、怜緒、森野は望を取り囲んだ。
はしゃいでるのが、他の人に聞こえたのか、どんどんと人が集まってきた。
付き合いはじめて、オープンになったのか、へタレだった望が笑顔でみんなに「俺ら付き合い始めた」といった。
皆は意外そうな顔をして叫ぶ。そりゃあ、吃驚するだろうなあ。
望は、いままでそんなそぶりみせなかったのに。
帰る頃、バスに乗車するとき、私はきーちゃんとすれ違った。
すると、すぐうしろにいた男子に話しかけた。
「……スイートハニーと別れた」
スイートハニーとは、鈴野愛可であろう。
哀愁をただよわせて去っていくきーちゃんに、私は思わず同情してしまった。
恋が叶い、そして散っていったこの自然学校。
もう、2度と体験することはできないだろう。
とりあえず、すっごく楽しかった! 良い思い出をありがとう!