コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: やさしくしないで。 ( No.23 )
- 日時: 2011/01/15 14:28
- 名前: 三春 ◆OTogeME6uU (ID: mznU1Olg)
「大ニュース! 大ニュース!」
だいぶ教室に人が集まりいつもの教室に戻りかけたころ、クラスのムードメーカー桜坂くんがばたばたと足音を立てて教室に入ってきた。
あんなに騒がしかった教室も桜坂くんの言葉によってしんと静まりかえる。
「翔真と高橋は出来ていた! 今日、おれ翔真が高橋のほっぺに触るとこ見ちゃったんだよね!」
……えっ!?
また、教室にざわめきが戻る。
見られてた。
それだけでも恥ずかしいのに……
……どうして。
みんなの前で、そんな風に言うの?
じわじわと涙があふれてきて、目がしらが熱くなる。
はずかしさで胸がいっぱいで、逃げだしたくなる。
でも、ここで逃げたら認めたも同然。
どうしようっ——————!
「……やめろよ。出来てなんかねぇし」
静かに、怒ったような口調で織田が言った。
ふっと肩の力が抜ける。
「じ、じゃあなんでほっぺに……」
「ゴミがついてただけだし。おれ、別に高橋のことなんとも思ってないし」
ずきん……
わたしは確かにこの時、聞こえた。
心の奥のなにかが、音を立てて割れたのを……
「……な、なんだよ。つまんねぇな」
「またかよ。桜坂の早とちりーっ」
教室は一気に笑い声に包まれる。
その中で、わたしひとりだけ笑えなかった。
みんなの前で言われたからじゃない。
織田が、織田がわたしのことなんとも思ってないって。
確かにそう言ったから。
ゴミがついてただけだって。
わたしのほっぺにゴミがついてたから、なんてわたしに言ったらわたしがきずつくと思ったから、織田のやさしさが“可愛かったから”なんて言わせたんだ。
ひどいよ。
そんな優しさ、いらないよ。
期待、させてひどいよ。
言わなくて良かった。
言ってたらきっと、今頃はわたしきっとみじめな思いをしてた。
わたしに特別な感情がないんだったら、もう……
やさしくしないで。