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Re: やさしくしないで。 ( No.27 )
日時: 2011/01/15 14:32
名前: 三春 ◆OTogeME6uU (ID: mznU1Olg)


「あのさ、高橋って翔真と仲いいの?」
 授業が終わった放課後、委員会の集まりで和歌山くんと一緒になったときだった。

 大量の資料を抱え、何気なくそう問う和歌山くん。

 ……仲良くなんてないよ。
 朝までは、ちょっとは。なんて思ってた。
 けど、違ったんだよ。


 わたしのこと、なんとも思ってなかった。
 

「……違うよ」
 わたしは出来るだけ、落ち込んでいるように見せないよう笑った。
 だけど、体は正直で思いきり顔が引きつる。

「……そっか。おれさ……高橋のこと好きなんだ」

 さらりと普通の会話のように、それを口にする和歌山くん。

 え?
 今なんて?
 和歌山くんが、わたしのことを?



 頭の中がぐちゃぐちゃになって、なんにもこたえられなかった。


「だから、だから、高橋が翔真のこと好きだって思ってたし……。今日の朝ホントは聞いててわざと、わざと教室に入ったんだ」


 そうか。
 あのグットタイミングな入りは、わざとやってたんだ。


「……別に、だから付き合えとかそういうことじゃないんだけど」
「ううん。いいよ……付き合おう」

 わたしもどうしてそんなこと言ったのかはわからない。
 ただ、きっとはやく織田のことから逃げたかったのかもしれない。



 “わたしだって、あなたのことなんとも思ってなかった”


 そんなふうに、織田にアピールしたかったのかもしれない。


「まじ?」

 和歌山くんの嬉しそうな顔を見たら、余計にそう思った。
 ううん、そう思わせた。


 ……きっと、付き合っていけば和歌山くんのこと好きになれる。 
 だから、これで良かったんだよね。