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Re: やさしくしないで。 ( No.31 )
日時: 2010/12/30 17:26
名前: 三春 ◆OTogeME6uU (ID: mznU1Olg)

    2章 『愛するより愛されろ』





「やっぱりな! 高橋と翔真はできてなかったんだ!」
「ほらな。大志とできてたんだよ」



 大志との関係が始まった次の日、うわさというものはこわいもので、もうみんなに知れ渡っていた。
 
 ……付き合ってるんだから、これくらい普通だよね?
 騒がれても、気にしないようにしなきゃ。


 ……織田は知ってるのかな?
 まだ、来てないけど。

 大志と同じサッカー部だから、もう知ってるかもしれない。
 ……別に、知られたってあっちはどうも思わないけど。
 少し、やきもちをやいてくれるかもしれない。なんて期待は最初からしていない。

 だけど、……知られていたらいたで、怖い。
 より一層、関係が壊れてしまいそうで怖い。


ガラッ

 教室のドアが静かに開いた。
 そこにいたのは、織田だった。


「ごめん! 翔真ーっ。高橋とはできてなかったんだな。だって、高橋、和歌山とできてたんだもん!」
 お調子者の桜坂くんが、織田にすぐさまかけより、そう言った。

 どきん……
 心臓が飛び跳ねる。

 織田は、どんな反応をするの?



「……そっか。大志おめでとう。前から好きだって言ってたもんなっ。高橋も大志のこと好きだったんだなっ」


 にこっと明るく白い歯をのぞかせて笑った織田。
 ……なんだ。
 知ってたんだ。大志がわたしのこと好きだったこと。
 
 もしかして、わたしと仲良くしてくれたのは、大志との関係を取り持つためだったんだ。
 あの日、わたしに『勉強教えてな』って言ったのも、大志のためだったんだ。


 わたしは笑った。 
 心から笑った。

 これで、本当に織田への気持ちがふっきれると思ったら、なんだかとてもうれしかったから。