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Re: やさしくしないで。 ( No.4 )
日時: 2011/01/14 20:10
名前: 三春 ◆OTogeME6uU (ID: mznU1Olg)

 “河口中学校”
 
 そう記された、色あせた校門をくぐりぬけわたしはとっさにスカートの丈を下ろす。
 そこには、風紀委員の先生の福田が立っていたから。

「お……はよぉ、ございまーす」
 なんて小さくあいさつをしながら、リボンをつけ忘れた襟もとを手で隠す。

 なんて、はらはらするのがおもしろくてたまらない。
 友達とわざとリボンをつけないで、福田に気付かれず校門をとっぱできるかを競ったりもする。




 でも、今日は織田のサッカー部の朝練を見るために早く登校。
 これが、木曜日の日課。


「……あ」
 わたしの視界に現れたひとつの影。それは、かべに向かってひとりでボールをけって、自主トレをしている、織田だった。
 
 ぽんっと跳ね返る土まみれのボール。
 ……それを簡単にけり返す、織田の足。


 ボールを操るテクニックに、わたしはしばらく見とれていた。



 好き、って伝えたい。
 気づいてほしい。
 でも、口にはしたくない。


 わたしは、だらしなく伸びた黒い髪の毛を握る。
 目がとても熱くなる……



 もう、どうしたらいいの——————?