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Re: やさしくしないで。 ( No.9 )
日時: 2011/01/14 20:14
名前: 三春 ◆OTogeME6uU (ID: mznU1Olg)

 考えれば考えるほど、頭の思考がぐちゃぐちゃになる。
   
 織田。もっとこっちきて。わたしに話しかけて。好きだって言って。


 ……こんなこと、いくら心で思っても織田には届かない。
 分かってるはずなのに、どうして……こんなに胸がしめつけられるの?



「……え」
 ころころ静かに転がってきた土にまみれたサッカーボールが、わたしの足に小さくぶつかった。


 ふいに、ある予感が脳裏をよぎって頭をあげる。

「お、だ……」
 案の定、そこに立っていたサッカーボールの持ち主、織田だった。

 息を切らして走ってきた。
 織田の白い吐息が目に映る。
 

 ……やばい。テレパシーが伝わったの?
 それとも神様のいたずら!?

「お……はよう」
 震える声で、わたしは小さくつぶやいた。

「おはよう。いつもより早いな、つむぎちゃん」

 下の名前で呼ばれたことに、驚きながらもわたしは織田の言った言葉にいちばん驚いた。


「……どうして、どうして……、わたしが来てる時間知ってるの?」
 声に出していないつもりだった。

 けれど、抑えきれなかった。
 自分が声に出しても、特別驚きもしなかったのは、こころのどこかで口に出したい。と願っていたからのかもしれない。


「あ。だってさー、いつもつむぎちゃん花の世話してくれてんじゃん。教室のベランダのさー。……見えるんだよね、こっから」

 にこりとはにかんで髪の毛をかきあげる織田。


 ……見ていてくれた。
 もう幸せで、幸せで。
 
 わたしは声を発するのも忘れて、ただ織田の言葉を脳内で連呼していた。