コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 巫女の少女と命使いと ( No.13 )
- 日時: 2010/09/25 15:16
- 名前: 山口流 ◆v9R3ODctWg (ID: 3iqcZzcT)
第二章 黒き存在現る。
そして深夜九時半……俺は学校の正門の前に立っていた。
いつもは特に意識しないような異様なプレッシャーを正門の前からも感じていた。
夜の学校とは言葉を聞くだけでも近づきたくない存在なのに、実際に目の前にその存在があると感じるだけで、足が震えてすくんでしまいそうだ。
「漫画の主人公とかはよくもまあこんなところに入れるわな。どこにそんな度胸があるんだか」
漫画の主人公たちに関心と同情を届けると、一応正門を力いっぱい押してみる。ビクともしない。
「まあ、それもそうだよな。鍵が開けてあるわけはないよな」
仕方ないので正門の上に手をかけて足も使用してよじ登る。
鉄でできた正門のひんやりとした感触を感じつつ、それほど高くはない正門を乗り越えて学校の敷地へと侵入した。
校舎を見ると電気はついておらず、まったくもって心地良さのかけらもないような静寂があたり一面を支配していた。
こんななかで電気をつけたら、俺がリアル怪奇現象に会う前に「急に電気がつく教室」として、俺が怪奇現象を作り出すことになっちまうよ。最悪だな。
去年できたばかりの校舎に向かうまでのアスファルトを、念のため極力音をたてないように歩いていると、ふと校庭に目が向いた。
そこには何もなく、結構な広さの校庭に延々と砂が敷き詰められているだけだ。
「こうやって誰もいない校庭見ると、えらい広く感じるな」
無駄な感想を呟いてから、更にこの広い学校の中で一人きりだと言うことを理解してしまったため不安感がさらに増大し、音を立てないように早足でアスファルトを通り過ぎた。
足早に向かった先は無論昇降口である。
さすがに『夜八時以降の学校への立ち入りはいかなる生徒、教師、理由があろうとも禁止する。』という校則を破った俺でも、上履きに履き替えずに乗り込むような真似はしない。
それに、昇降口以外の侵入経路は無いからどうやっても必然的にここに来ることになるしな。
しかしここで問題が発生した。
俺の目の前にある昇降口の扉は鍵がかかっているのだ。試しに押してみても開く訳が無い。
「う〜ん、どうするか……門じゃあるまいし乗り越えられるわけはないからな……」
破るという案は却下一択だし、侵入経路はここ以外にないから他の所から侵入することもできない。鍵は職員室だからまずこの中に入らなければどうしようもない。
「くそっ、どうすりゃいいんだこれは」
下を向いて考えていると、下にあった巨大な簀の間に、何やら光るものを発見した。拾い上げてみると、
「鍵だと?」
それは鍵だった。鍵の後ろには木の板がひもでくくられている。
この鍵を使用する場所が書いてある板だ。そこには黒マジックででかでかと、
「南校舎玄関」
と書かれていた。鍵を差し込み回すとカシャンという音とともに、鍵が開いた。
「マジかよ。先生か誰かが落としたのか? 不用心な学校だな」
しかし俺はそれをたいして気にすること無く、学校へと侵入した。