コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 巫女の少女と命使いと ( No.9 )
- 日時: 2010/09/29 17:52
- 名前: 山口流 ◆v9R3ODctWg (ID: 8Sk6sKy2)
俺の家は平凡で凡庸で普通すぎるほど普通の家だ。
一家四人で両親がギスギスした雰囲気になったり、妹が急にグレるなんてこともない。
まあ親父が頑固だったり、母親が若作りに異様に力を入れたり、妹のエネルギーが異様に有り余っていたりはするが、常識の範囲内だと言うことを理解してほしい。
妹は現在小学四年生。両親は……忘れちまったな。
確か親父が四〇代前半で、お袋は三〇代後半だったように記憶している。
その辺はどうでもいいがな。
そしてその平凡な家族は、これまた平凡な4LDKの一軒家に住んでいて、表紙にはウチの家族の名字である『山沢』が彫られている。
その横にはウチの父親、母親、俺、そして妹の順に下の名前も彫られている。
そう言えば自分の名前を言うのをすっかり忘れていた。
俺の名前は山沢古神(やまさわいじん)。成績のあまり振るわない、一般的な一中学生だ。
名前の由来は、「この世界を作った古の神のような不可侵で、強大で、神聖なる人になってほしいから」。
読みは「古」は「いにしえ」と読むから、それの頭文字をとって。神はそのまま。
さらに「偉人」と読みが同じということをかけて「いじん」……。
どんな宗教に入ってんだよと言いたくなるような理由でもあるが、俺はそれなりにこの名前を気に入っている。
息子に期待をしすぎだよ、と思うことも多々あるが、それでも相当いい名前だと思うね。
しかし、それ以外には特徴という特徴もなく、説明する必要性があるものが一向に見つからないので、さっき言った小四の妹でも紹介しよう。
俺は玄関の扉を開けて家の中に入った。
「ただ……」
いま。と言いきる前にそれに対する返答が返ってきた。
「お帰り————っっ!」
小柄な何かが人間大砲並みの勢いで飛びついてきた。頭をこちらに向けて。
俺はそれをいつものように両手の平手で頭を挟み込み、両側から締め上げる。
「あああ————! 痛い痛い痛い痛いぃぃぃぃぃ! ギブギブギブウゥゥゥゥ————!」
これまたいつものように妹をギブアップさせて、脳内で勝利のゴングを響かせると、俺は手を離す。
妹の山沢創華(やまさわそうか)はお尻から床に落下し、「イタッ!」と声をあげた。
創華はお尻を擦りながら、「う〜最近勝てないなあ……」と呟いていた。
創華は現在小学校四年生であり、身長が平均以下の小柄な体型をしている。(自称、平均を十センチオーバーらしいが)
若干お袋の血が混じった薄い茶髪のセミロングであり、白いカチューシャでオールバックにしている。
そのオールバックにした髪の毛は、更に首の後ろ辺りで白いゴムで束ねられている。
童顔と言えば聞こえはいい面だが、落ち着いて考えてみると、年齢を考慮すれば当り前の顔であり、こいつは童顔なんてキャラではなくて単純に餓鬼なだけだ。
こいつの面の良さを否定する気はないがな。
名前の由来は、「華麗で華美なものを創造できるような、偉大な人物になってほしい」だそうだ。なかなかいい名前だろ?
そんな感じの妹を持った俺のルックスはと聞かれたら、即答しよう、「普通」だ。
なんだ、人の面に文句でもあんのかよ。
両親が同じだからって面が似るわけじゃねえんだよ。
そういうもんなんだよ、人間ってのはさ。
不平等で、不条理で、不都合なのがこの世界の常識なのさ。
いくら戦隊物やら変身物やら、ロボットをゴウンゴウン動かして悪の組織を壊滅へと追い込むようなものにあこがれたところで、この世界には一切そんなものはないんだよ。
無論、突然神秘の力に目覚めたり、なんてこともない。
そんな夢はさっさとあきらめて、現状維持をすることが大切なのさ。
そんな事を自分の部屋のベッドに寝っ転がり、無機質な白の天井を見上げながら考えていた。
今日は部活も休みであったから、特に何をするとも考えていなかったため、今はさながら視線だけで天井に穴を開けるかのように、ずっと天井を眺めつづけているのだ。
その後、心地よい睡魔にさらわれたのは言うまでもないかな。