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警視庁特殊能力一課“Almighty” ( No.12 )
日時: 2010/10/06 20:49
名前: 麿ん堂 (ID: 0wOvjTDj)


第2話「新入生」

「・・・ん?誰か来る?」

ドドドドド、と誰かが走って来る様な地響きが鳴ったと思ったら、次の瞬間。

バァンッ!!ベキッ!!

・・・と、扉がすごい勢いで開け放たれた。・・・何か変な音が聞こえたんだけど・・・?

部屋に入って来たのは3人の少年。
白、黒、灰色。
モノクロな髪色をしている。
一人は片手に鉄アレイを持ち、黒い眼帯をしている。
一人は制服を格好良く着こなしアクセサリーを程良く付け、白地に黒い王冠のマークがプリントされたアイパッチをしている。
一人はクマのぬいぐるみを抱き抱えている。
この子たちは黒白白亜、黒白弥黒、黒白灰李。
一卵性の三つ子なので顔はクローンの様にそっくりだが、性格は見事にバラバラ。

「悪ぃ、遅れたー。ちくしょー、先生の奴なかなか帰してくれなくてさー」

そう言いながらソファに倒れ込む様にして座ったのが三つ子の長男・白亜。
能力は、“聴力”と“未来”。
真っ白な髪に黒い眼帯が特徴的な筋トレ好きの中3。

「それは貴様が数学のテストで3点を取ったからだろう・・・。まったく・・・、貴様の追試如きに俺の放課後が潰れるなんて・・・」

ブツブツと文句を言いながら白亜の隣に座ったのが三つ子の次男・弥黒である。
能力は、“視力”は“過去”。
真っ黒な髪に黒い王冠がプリントされている白いアイパッチが特徴的なオシャレ好きの中3。
・・・眉間に皺が寄りまくってるんだけど?!

「・・・だから僕は馬鹿な人は嫌いなんだよ」

弥黒の隣に座ったのが三つ子の三男・灰李だ。
能力は、“召喚”。
灰色の髪に抱き抱えられたぬいぐるみが特徴的なメルヘン好きな中3。
ちょ、ちょ、ちょ!!何あの子!怖い!!
例えて言うなら、そう、悪魔。
余程苛々しているのか、抱き締めるぬいぐるみの首がギリギリと音をたてております。
ちょっ、クマさんの頭破裂しちゃうから!!
首もげちゃうから!首!!

「・・・・・・・・・灰李は大福とマフィンどっち?」
「あっ、じゃあマフィンちょーだい♪」

グッジョブ、氷斗さん!!
さっきとは表情が一変、天使の様に可愛らしい笑顔でマフィンを食べる灰李。
あー・・・、癒されるわー・・・。
それはそうとぬいぐるみは・・・、ぎゃーっ?!
時既に遅し。
可愛らしいぬいぐるみは灰李のストレス発散に使われ、無惨に頭と胴体が首から真っ二つという放送禁止なことになっておりました。
何という馬鹿力・・・。
どうやら灰李を怒らせちゃいけないようです。
改めて心に誓ったその時、コンコンと扉をノックする音が聞こえた。
誰かな・・・?

「入るぞ」

聞こえてきたのは子どもより少し低い声。
ガチャ、と扉を開けて入って来たのは二十歳前後の若い男の人。
ピシッと皺一つ無いまるで新品の様なスーツを着て、薄茶色の長い髪の毛を後ろで纏めている。
彼は浮島奏太郎。
この特殊能力課の言わば保護者の様な人だ。

「皆揃っているな。あぁ、それと・・・」

懐から何かを取り出す。
何か見覚えあるよーな・・・

「扉の前にコレが落ちていたのだが?」

それは真ん中から綺麗に割れたプレート。
そのプレートには「特殊能力課」と書かれていた。
・・・何故に割れていらっしゃる。
うーん・・・と今日の出来事を思い出してみる。
確か私が来た時には無事だったよな・・・、という事は・・・。
ジロリ、と三つ子を見る。
どうやら犯人は白亜らしい。
汗の量が異常過ぎる。

「奏ちゃーん。犯人は白亜でーす」
「ばっ、おまっ!!」

取り乱した白亜がハッと我に返る。
横には般若顔の奏ちゃん。
サーッと血の気が引く白亜。

ガツンッ!!

「いってぇーっ!!」

目尻に涙を浮かべながら殴られた頭を抱える。
へへん、ザマァミロ。

「それと・・・」
「へ?」

奏ちゃんが私の方へ振り返る。
ま、まさか・・・。

ガツンッ!!

「〜〜〜っ!!」
「俺のことは浮島さんと呼べ」

酷いっ!私女の子なのに、白亜と同じくらいの力で拳骨して来たよこの人!!

「プレートは俺の力で直せるが、お前らの頭はどうにもならないな」

嫌味を言いつつもプレートを直してくれる奏ちゃん。
ちなみに奏ちゃんも能力がある。
“復元”と言って、壊れた物を元に戻したり新品同様に直す力だ。

「あ、コレもお願い」

と言って先程の真っ二つなぬいぐるみを渡す。

「・・・コレは、どうやったらこうなったんだ・・・」
「灰李がストレス発散で」
「・・・そうか」

どうやら奏ちゃんも灰李のことは怖いみたい。

「それで、今日は何故ここへ来たのじゃ?まさか、事件・・・かの?」
「・・・・・・・・・火音、今日は新入生が・・・」
「おぉ!すっかりと忘れとったぞい」

そうだった!今日は可愛い子が来ると神様のお告げがあったから来たのだよ!!

「あぁ、部屋の前で待たせてある」
「えっ!それって失礼じゃん!早く入ってもらいなよ!!」

可愛い子を待たせるなんて言語道断!
奏ちゃんは興奮する私を見て一瞬、呆れ顔になった。
失礼な奴だな!!

「・・・入って来てくれ」

奏ちゃんが指示を出して、ドアノブを回す音が聞こえた。
キィ・・・、と扉が開いた。
入って来たのは銀髪眼鏡の男子と部分長髪な男子、それと・・・美少女。

「一人ずつ自己紹介をしなさい」

と奏ちゃんが言う。

「花彌瑠果。能力は、“情報”と“知識”」

まずは銀髪で眼鏡の男の子。

「俺は言ノ葉詩流。能力は、“時間”と“空間”。よろしくっ♪」

次に右サイドの髪だけ長く残りはショートという髪型の男の子。

「あの・・・えっと・・・辻野、幸沙・・・ですぅ・・・。・・・えっと、能力は“死”・・・ですぅううっ」

最後に美少女。
言い終わった途端、銀髪の子の後ろに隠れた。

かっ、可愛ぇええええっ!!
男子2人はひとまずおいといて、何あの子!!
めっちゃ可愛いぃいいい!!!
クリーム色の先っぽが縦ロールになってて横でちょこんとフリフリのリボンで2つに結ばれている髪!!
夜の海を彷彿とさせるくりくりお目目!!
白とピンクを基調としたフリフリなレースとリボンで構成されている制服!!
そして極めつけは、抱き抱えられたウサギのぬいぐるみ!!
後ろで「・・・僕のキャラが・・・っ」と恨めしそうに呟く灰李は無視しよう。

あぁ、神様!
生まれて初めて私は貴方に感謝致します!!