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警視庁特殊能力一課“Almighty” ( No.39 )
日時: 2010/12/10 23:22
名前: 麿ん堂 (ID: XRtIHUiI)

第8話「死神化」(後編)

まず頭を整理してみよう。
えぇっと、榊ヶ原組の事務所みたいな所に潜入して・・・敵がうじゃうじゃ〜っと居て・・・んで、幸沙が「嫌いにならないで」って告白して・・・急に居なくなって・・・性格が急変してて・・・んで銃突き付けられて・・・花彌君が腕引っ張って・・・んん?
告白の部分がなんか変だなぁ・・・。
そもそもアレは告白だったのだろうか・・・?
もしかして・・・、

私の早とちり・・・?

「えっと・・・どゆこと?」

ボソッと呟いた。
・・・と思ったら、どうやら花彌君には聞こえていたみたいで。
急に腕を掴む力が強くなった。
ぎゅぅぅぅぅううう・・・って痛ぇ!!
あのあのあの!!洗濯ばさみで指挟んで痛いって感覚!!分かる?!
それが腕全体に広がっている状態です、ハイ。
じわじわ、じわじわ、じわじわ・・・・・・ギャース!!!!ぃいい痛いっ!!!
洗濯ばさみ→万力にチェンジ!!
いや、万力で腕ぎゅぅぅうううっ・・・なんてやられたこと無いですけど!!そんな感じに痛いっ!!!

「・・・アレが、幸沙の能力“死神化”・・・だ」
「痛いよ花彌君。手、離してくれる?」
「・・・アレが、幸沙の能力“死神化”・・・だ」
「うん分かった。それより手、離してくれる?」
「・・・アレが、幸沙の能力“死神化”・・・だ」
「それもう3回ぐらい言ったよね?!私も分かったって言ったよね?!てゆーかどんどん力込めるの止めて!!痛い!!」
「・・・アレが、幸沙の能力“死神化”・・・だ」
「ぎゃぁあああ!う、腕がどんどん変色していくんだけど?!赤紫から赤黒くグラデーションが綺麗…ってそんな場合じゃねぇ!!早く離してぇえええ!!」
「・・・アレが、幸沙の能力“死神化”・・・だ」
「ちょ、ガチで腕の感覚が無くなってきたんですけど。そういえばこのシーンってシリアスな場面じゃなかったの?!ぬぉおおおお!!ギャグとグロ画像(私の腕)が素晴らしい程にマッチして、新境地を開拓しているような?!」

花彌君ってこんなにギャグ線高い子だったっけ?
え。もしかして素だとかそーゆーオチですか?
やめて、これ以上は私の体が保たないんですが。
そんな事をしていると、突然、幸沙が私の腕を掴んで離さない花彌君と、腕がグロ画像…ってか放送禁止な事になっちゃった私の前にやって来た。
そして跪き、

「マスター、ご命令を」

と言った。
あぁ、幸沙いつ見ても可愛い…じゃなくって!!
誰?!マスターって誰なの?!
などと色々混乱している私の腕から圧迫感がフッ、と消えた。
腕を見てみると、花彌君が手を離してくれていた。
相変わらず腕は放送禁止なことになっちゃったままだけど。
花彌君の方を見ると、さっきまでの辛そうな顔が嘘だったのかのように、凛とした表情になっていた。

「…お前のマスターとして命ずる、敵を迅速に排除しろ!!」

・・・・・・。
ぬぁんと!マスターって花彌君の事だったのか!
いつも一緒に行動してるし、うん納得。

「御意」

浅く礼をして、敵がうじゃうじゃ居る方へ駆け出す幸沙。
え、何特攻しちゃってんの?!

「ちょっ!幸沙危な…」

引き留めようとした瞬間、あの時と同じ痛みが走った。

・・・グロ画像と化していない無事な腕に。

「んぎょぉおおおお!!!」

万力で締め付けるかの様な握力。
いくら悲痛な悲鳴をあげようと、決して離さないギャグ線の高さ。
皆さんもお判りであろうが、犯人は勿論、

花彌君。

「んどぅぉおあああああ!!痛いっ!痛ぇええええ!!」
「アイツを、引き留めるな・・・!」
「うん分かった!分かったから、腕から手を離してぇえええええ!!」
「アイツを、引き留めるな・・・!」
「えぇえええ!何このデジャブ的な展開!」
「アイツを、引き留めるな・・・!」
「あ、でも花彌君の言葉の言う速度が速くなったかも…って、そーじゃねぇ!!」
「アイツを、引き留めるな・・・!」
「いでででででで!力込めやがったなこの野郎!」
「アイツを、引き留めるな・・・!」
「あのー、そろそろ腕が変色してきt…「アイツを、引き留めるな・・・!」うぉおおお…すげぇ…。速度が進化してやがr…「アイツを、引き留めるな・・・!」いや、あの、速い!台詞言うの速すg…「アイツを、引き留めるな・・・!糞野郎・・・!!」ちょ、おま、私の聞き間違いですか?今確かに糞野郎って追加されや気g…「アイツを、引き留めるな・・・!糞野郎・・・!!ヘタレ・・・!!役立たず・・・!!」完全に悪口だよね、ソレ。それに私ヘタレてn…「五月蠅い・・・!!黙れ糞野郎・・・!!馬鹿阿呆間抜け腑抜け・・・!!アンポンタンたぬき・・・!!」ちょちょちょ。え、何ソレ。そんなに私ってダメ人間なの?!しかも最後アンポンタンたぬき…って!!」

駄目だ。
完全に無限ループ突入だ。
誰か乱入してくれないと終わらない。
つーかその前に私の腕が圧死してしまう。
助けてくれ!と目で必至に他の皆に合図するが、皆こっちをちらりと一瞥しただけで助けてくれない。
ちくしょう!なんて薄情な奴等だ!!
こんなにか弱い女子の腕が今にも圧死してしまうというのに!

「マスター、排除完了しました」

私が痛みに悶えていると、救いの声が聞こえた。

「幸沙!やっぱり君は私の天s…ぷぎゃ!!」

抱き付こうとしたら、ほっぺにちゅ☆ならぬ、ほっぺに跳び蹴り★がきた。痛ぇ!!
つーか、排除完了って何が……。
ジンジンと痛む頬を押さえ、幸沙がやって来た方を見たら、山の様に積み上げられた屍と赤黒い血が通路中に散乱していた。
こーゆーの何て言うんだっけ?
死屍累々?阿鼻叫喚?地獄絵図?
まぁ、そんな感じの通路が私の目の前に広がっていました。

「コレを幸沙一人で…?」
「はい、そうです」

いつもの幸沙に戻っている…どうして?
そう思い幸沙を見ると、いつの間にか花彌君が幸沙の首にチョーカーを付けていた。
成る程。首にチョーカーを付けていたら普段の幸沙で、チョーカーを外すと死神化するのか。
…間違ってもチョーカーは外しちゃいけないな…。

「…嫌いに、なりましたよね…?」

大きな瞳に涙を浮かべて、怖ず怖ずと訊いてきた幸沙。

「くっそぅ!可愛いんだよバッキャロー!!」
「わっ」

幸沙を思いっ切り抱き締める。
うっふふ!可愛い可愛い!

「じゃあ…」
「おう!私が幸沙のことを嫌いになる筈がねぇだろ!」
「先輩……っ!」

ぎゅっ、と幸沙が抱き返してくる。
あまりにも力が強すぎて内臓飛び出そうになったけど、そんなの気にしねぇ!

「おい、お前ら。そんな所でラブコメやってねぇでさっさと行くぞ!多分この通路の先に組長が居る…」

銃を構えた奏ちゃんが言う。

「はぁーい!幸沙、行こう」
「はい!」

幸沙の手を引いて奏ちゃん皆の所へ行く。

待ってろよ組長!!