コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 俺と魔王の女の子!? ( No.13 )
日時: 2010/10/10 16:28
名前: 零十 (ID: YD0nNCEn)

第二章『お騒がせ魔王』

「アリサ……我の名……」
「ネーミングセンスが無くて悪いけどな!」
「ふむ、確かにありがちな名前だ。センスの欠片もない」
「おい……」

はっきり言われると俺だって傷付くんだが。
急に考えたんだから仕方ないじゃないか。

「でも……ありがとう、人間」

……意外と素直らしい、名前も、センスがねぇと言いつつも気に言ってくれたようである。
だが、まだ俺の自己紹介をしていない事に今更気付いた。いや、言うタイミングが無かっただけか?

「俺は鈴原千流だ。覚えといてくれ」
「セシル? 汝はセシルと申すのか……覚えておく」

魔王様に名前を覚えて貰えるなんて光栄だな、覚えておいてと言ったのは俺だけど。
何となく、アリサの頭を撫でてやる。くすぐったそうに抵抗する姿が可愛らしい、魔王とは思えない。

「なぁ、セシルは、我を一人にしたりしないか?」
「ゑ?」

アリサはベッドから降りた。そして、胡坐をかいている俺に近づく。
上目遣いで俺の目を見て、瞳には薄らと涙を浮かべて、言う。

「一人にしないか?」
「……わぁったよ、今日から俺等はダチ同士だ」
「ダチ……? それはどういう意味だ」
「友達って言えば分かるか?」
「む、バカにするでない!」

しかめっ面も可愛いな、おい。
ふと、時計を見る。既に午前四時を回っていた。
あれからニ時間近く経っている事になる、今更ベッドに横になっても眠れないだろう。

だが俺は、何か大切な事を忘れていた。
俺がそれに気付くのは、三時間後の事である。

Re: 俺と魔王の女の子!? ( No.15 )
日時: 2010/10/15 13:38
名前: ゆう (ID: pkkudMAq)

私の小説に来てくださってありがとうございます!!
やっと見つけました ていうか、探しました

Re: 俺と魔王の女の子!? ( No.16 )
日時: 2010/10/15 17:17
名前: 零十 (ID: lUcqHz23)

>>ゆう氏
書いている小説はこれだけではありませんがねw
改めて宜しくお願いしますね。

Re: 俺と魔王の女の子!? ( No.17 )
日時: 2010/10/15 22:25
名前: 零十 (ID: lUcqHz23)

「あ、はは……苦笑いすら出てこねぇ」

再び現在進行形で困った千流を助けてくれる手は……あるわけが無かった。
ちらっと、彼のベッドの上で安眠を貪る少女、否、魔王の女の子を見る。
魔王とは言え、子供だ。遅くまで起きていたら眠くなるのは当然だろう。

千流は勢いで「ダチになってやる」と言った、だが一つ大きな問題がある。
アリサは魔界が無くなったと言った。すなわち、この子には帰る場所が無い、なら、ダチの千流が彼女を預かるしかない訳だ。
だが、この家には千流以外にも、母親である鈴原日和がいる。
アリサの事をどう説明すればいいのか。それが問題だった。

「変に説明しても無駄だよな……本当の事を言ってみるか?」

いやいや待て。それが一番やってはいけないパターンではないか。
頭をブンブン振って、千流は立ち上がる。だが、それだけだった。
ほとんど寝ていなかったせいか、急に睡魔が千流の頭の中を支配し始めたのだ。
無論、睡魔の進行を止める術は無く、千流はベッドに倒れ、意識を手放した。


「……? あれ、俺いつの間に……」

まだぼやけている頭で、千流は時間を確認した。九時を過ぎて少し。と言ったところだ。
大きく欠伸をして、ベッドから起き上がり……千流は凍った。
アリサが居ないのだ。

「アリサ! 何処だ!」

呼んでも返事は帰ってこない。替えてって来るはずが無い、彼女は居ないのだから。
千流は半狂乱になって階段を駆け下り、すぐに右の廊下へ曲がり、転んだ。
思い切り転んだ千流を見て、その母、日和は不思議そうな芳情を浮かべた。

「千流どうしたの? そんなに慌てて」
「いや、なんでも……てか、その横に居るのは?」
「あらあら。自分の妹の事を忘れちゃった? 当たり所が悪かったのかしら?」

『妹』その言葉に、千流は驚愕した。当たり所が悪かったのかしら? の部分は彼に聞こえていない。
母、日和の横にいる。小さい女の子、紫色の頭髪に角。彼女の威厳を表しているであろうティアラ。
ドレスの代わりに、青色のノースリーブワンピースを着ていたが、確実に分かる。

「アリサ、お前そこで何してる?」
「良かった。思い出したみたい! じゃ、千流、アリサ、朝ご飯出来てるからちゃんと食べるのよ」
「分かった、日和」

鼻歌交じりに、日和は別の部屋に移る。代わりに沈黙が訪れた。
沈黙が破れるまで、10秒と掛らなかったが。

「どう言う事だ? お前、普通に母さんと喋ってたじゃねえか!」
「魔術を用いた。我が家族だという記憶を埋め込んだのだよ」
「なんでもアリだな、おい」

苦笑い、否、呆れた表情を浮かべる。魔王の魔術は何でもありなようだ。
すくっと千流は立ち上がり、次にアリサの頭を撫で、呟いた。

「心配したじゃねぇか、バーカ」
「む! バカとかなんだ!」
「ははは、ホラ、飯食いに行こうぜ」
「無視するなー!」

騒がしい一日の始まりである。

Re: 俺と魔王の女の子!? ( No.18 )
日時: 2010/10/16 19:36
名前: 零十 (ID: DZWfhZUD)

「ところでセシルよ」

朝食を食べ終わってすぐ、アリサは目の前で雑誌に目を通している千流に話しかける。
そのまま無視しても良かったのだが、彼女が千流の顔に向けたスプーンの存在が、無視するなと語っていた。

「なんだ?」
「我は人間界をもっと知りたいと思っている」
「その心は?」
「外に出たい」

その台詞は、千流にも納得できるものだった。
彼女はここに来たばかりだ。彼女の知っている場所は今の所家の内部のみ、外に行きたいと思うのも妥当だろう。
また、外に出たいと思うのは好奇心の現れである。魔王とは言え、やはり子供なのだ。
子供は室内に居るより、外へ出て暴れまわったほうが楽しいに違いない。
千流も特に悩む事は無いだろう。

「そうだな、俺も出かけたいと思ってたし、行くか!」
「うん!」

歓喜に満ちた顔でアリサは返事をした。が、直ぐに千流に背を向け、腕を組んだ。

「早く準備しろ、我を待たせるな」
「へいへい」

食器(二人分)を台所に置き、千流はすぐにニ階へ向かった。着替えに行くのだろう。
今の所、アリサがすべき仕事は一つだ。玄関に向かい、千流を待つこと。
だが、外に出てからは、千流の仕事が出来る。それは、アリサを色々な所に連れて行く事。
千流は、アリサの事を『友人』としたのだから、それ位は当たり前の仕事なのだ。

こちらに近づいてくる足音に、アリサは振り返る。待ち人来たり。である。
千流は、半袖のYシャツに身を包み、青いネクタイを締めていた。
下は黒い長ズボンであり、上と下で、見事な白黒が完成していた。

「セシル、その格好は?」
「あぁ……俺の高校の決まりでさ、出かける時は制服で行く事になってんだよ」
「ほぅ……」
「どうした、やっぱカッコ悪いか?」
「いや、そんな事は無い、それより、早く行こうぞ」

アリサが先に出ていく、続いて千流も外へ出た。
夏の空は快晴である。

Re: 俺と魔王の女の子!? ( No.19 )
日時: 2010/10/17 16:13
名前: 零十 (ID: DZWfhZUD)

家を出て三十分程離れた場所の商店街で、千流とアリサの二人は散歩していた。
特に商店街に用は無い、ただ、アリサに見せてやりたい場所が此処だったのだ。
千流は、自分より少し前を歩くアリサを見て、ホッと息を吐く。

「セシル、アレはなんだ?」
「あれはマクボナルド。ファーストフード店だよ」
「……ふぁーすとふーど? なんだそれは」
「んー、簡単に言えば飯食える所だな」
「ほぅ……人間界は外でも飲食ができる場所があるのか……」

顎に手を当てて、アリサは感嘆の声をもらす。魔界には飲食店は無いようだ。
いや、もしかしたら魔界にも飲食店は存在して、アリサがそれに気付かなかっただけなのかもしれない。
この容姿でも魔王だ。城的な所から出た事がない箱入り娘だったという可能性もある。
千流はそこまで考えて、再び歩を進めた。魔界の飲食店は何を食えるんだろうと考えながら。

商店街には色々な店がある。飲食店を始め、玩具店、レンタルビデオ店、ゲーム店等。
どれも、人間気に来たばかりのアリサには、好奇心をくすぐられるものばかりだ。
アリサは何か面白いものを見つけるたびに、千流に質問し、千流はそれを丁寧に返した。


時間は過ぎて行き、時刻は午後一時を回っていた。

「アリサ、腹減ってないか?」
「あ、そう言えば……」

と言いかけて、アリサの腹の虫が鳴いた。
千流はニヤニヤしながらアリサを見て、頭を撫でる。

「何が食いたい?」
「そうだな、途中で見た吉田屋の牛丼とやらが食べたい」
「牛丼か……よし、分かった」

丁度俺も食いたいと思ってたし。は言わないで、千流は歩き出す。
ここの商店街は何度の通っている為、どの店が何処にあるのかくらい、千流には分かっていた。
ただでさえこの商店街は広い、迷子になる子供が一日に何人も出ている位なのだから。
千流も一度ここで迷い、途方に暮れていた事がある。

「はい、読者様が文章を読んでいるうちに、吉田屋に着いたぞ」
「読者? 文章? 何の話だ?」
「こっちの話だ」

Re: 俺と魔王の女の子!? ( No.20 )
日時: 2010/10/17 21:04
名前: アビス (ID: U3CBWc3a)

このスレじゃ初めましてだなw

って、いうかここで『俺と魔王の女の子!?』を新しくやってたんだ・・・。
気づくのに大分かかってしまった。これからも見に来るから、更新楽しみにしてるよ。

Re: 俺と魔王の女の子!? ( No.21 )
日時: 2010/10/17 23:21
名前: 零十 (ID: DZWfhZUD)

>>アビス
小説ガイムの方から移動して、相当推敲してますよ、この作品。
寝ながらの更新なので、かなり遅くなりそうですが。

Re: 俺と魔王の女の子!? ( No.22 )
日時: 2010/10/18 18:20
名前: Camellia (ID: SuDcL78Z)

こんにちはbb
早速お邪魔しちゃいましたっ(笑)

うわぁ・・・・私もこういう感じの書けたらいいな、って思うのに・・・w
物語の情景を頭に思い浮かべて読ませてもらいました〜^^
お互い、高めあえる仲間になれるといいですね^^

Re: 俺と魔王の女の子!? ( No.23 )
日時: 2010/10/18 18:52
名前: 零十 (ID: 7HladORa)

>>came氏
物語の情景を更に思い浮かべかべられやすいように、現在ブロ友に千流とアリサのイラストを依頼しています^^
お互い頑張りましょう!