コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

 2 ‐ 03 ( No.24 )
日時: 2010/10/17 19:42
名前: 風無鳥 ◆aeqBHN6isk (ID: yjS9W/Zh)

◆ 2 ‐ 03

 目が覚めると、見慣れたベージュ色の天井が。体の下はやわらかであたたかい。えーと……あ、ここ俺の部屋か。ベッドに、寝ている? なんでだっけ。
 ……ああ、そうだ、確か妙な猫がいて、アスファルトに頭ぶつけて……気絶したのか。紫音が運んでくれたのか。あいつ、そんな優しかったか? まあいいや、とりあえず起きるか。

「玲、大丈夫? ……ほんと馬鹿ね、もー」
「はいはい」
「何よその態度……」

 紫音はベッドの傍に立っていた。視線を逸らしてもごもごと何かを言っている紫音はおいといて、あの猫どこ行った。
 俺の脳に明確に記録されているあの不思議な出来事が一体何だったのかをハッキリさせておきたい。そうしないと絶対に後々頭にとれない瘡蓋のようにくっつくんだよなあ。

「ルゥはここにいるよ。あれぐらいで気絶するなんてやっぱり人間だね」
「!??」

 頭上から、声。気がつくと頭に何か乗っている感覚が。おい、何を勝手に、誰の許可をとって俺の頭に乗ってるんだ、ぬこさんよ。……あれ、待て待て待て待て頭上、ということはこの声がやっぱりぬこさんから来たと? 

「馬鹿じゃない動揺しちゃってさ。鬼猫が喋って何がおかしい」

 ちょ、本当に待ってくれよここは夢の中か? 実に嫌な悪夢だな。
 なあ、マジでなんだよこれ。誰か教えろ。教えてくれ。常識……そう、こんなん常識で考えれば夢としか思えない。
 けど。

「さっさと起きなよ、アホ」

 ルゥ、って言ってたか。猫はようやく俺の頭から降り、床に華麗に着地する。

「お前、なんだよ」

 知らぬ間に自分の口から言葉が洩れでた。恐怖心とかも微妙にあるけれど、俺の中ではそれよりも久々に生まれた好奇心の方が強まっている。

「ルゥはルーニャ。クレア様の付き猫だよ」

 にぃっと口元をあげる黒猫——ルーニャの黄金色の瞳が、どこか謎めかすように煌いた。



ルーニャちゃん。一人称はルゥ。めちゃくちゃ重要猫物です。
あ、土日の分をちょっとだけうpしとこっかな、と……