コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 2 ‐ 05 ( No.31 )
- 日時: 2010/10/18 17:12
- 名前: 風無鳥 ◆aeqBHN6isk (ID: yjS9W/Zh)
◆ 2 ‐ 05
そして。ルーニャから聞かされた話を全部リアルタイムで言っているとそれはかなり大変なことになるので、悪いけれど要約させてもらう。
紫音について。
黒城紫音は本当はクレア・ベルナールという名前で、トイフェル国の王族、ベルナール家の第一王女。
しかし、魔界で生まれるはずだった命の素が、何かの事故で人間界で生まれてしまったのこと。その事実は知られていたが、探すのは容易ではなく十七年間もかかってしまった。このへんはよくわからない。
魔界について。
人間界とは別にある世界。前述の悪魔の国「トイフェル国」、天使の国「アンジュ国」、妖精の国「ラフェ国」で構成されている。普通悪魔は天使の国に行けず、天使は悪魔の国に行けない。妖精はどこへでも行けるし、妖精の国には誰でも入れる。
魔界に住む者(以下魔住者)はほぼ全員が人間界の存在を知っているが人間界で魔界の存在を知る者はあまりいない。魔界と人間界を行き来する方法は知られているが、やはり魔界の方が生活しやすいため行く者は少ない。
悪魔、といっても一般的なイメージの悪い奴ばかりではなく、むしろそれは全体の中で少ない方。悪魔と天使の違いは実際は生まれぐらい。妖精は容姿的に違う。
魔法について。
魔住者はほぼ全員が魔法を使える。それは千差万別で色々とあり一様に説明できるものではない。
初歩的なものはだいたい全員が使える。「瞬間移動」「空中移動」「精神遠隔感応」など。
ルーニャについて。
「鬼猫」という種族の魔物。外見はただの猫(特徴は牙が他に比べ鋭いぐらい)だが、喋れるし初歩的な魔法は使えるし人の姿に変身することもできる。また、吸血鬼でもあるようで血も吸える。だが血を吸うかどうかは猫それぞれ好みがある。
ルーニャの血筋の鬼猫は代々ベルナール家の付き猫(付き人のようなもの)をしてきて、ルーニャは紫音の付き猫。人間界にとんでしまった紫音をずっと探していた。御主人は命に代えて守る主義。
ふう……こんなものだろう。疲れた。もうすぐ俺の脳はベッドへGoしてしまう。いや、その前に俺、晩飯を食べる時間なんだが……一時間ブッ通しで話を聞かされるなんて思ってもいなかった。
ではなく。
本当にここは現実なのか?
そんな疑問が頭の中をよぎる。だってそうだろう、いきなりこんなこと言われて素直に信じることのできる奴、いるわけない。いたとしても——少なくとも俺はそうではないから関係ない。
だいたい、話が進まないから猫が喋るという事実を受け入れてしまったけど、その時点からおかしいんだ。その上悪魔だの魔界だの魔法だの、色々言われてもなあ。
紫音も信じたようだったけど、話が終わった直後「御手洗い行ってくる」なんて部屋の外に出ていったのは、自分の中で整理するためだろう。俺はこの場にいるだけだけど紫音は当事者だ。色々と考えることもあるに決まってる。
まあ、受け入れるしかないよな。夢だったとしたらどうせ覚めるんだし。ドッキリとかだったら……その場合はどうしても企画者の関節を一、二本外してしまう気がする……。
「あのさ、」
外してしまう気がするけれど、その前にルーニャにこう言っておこう。言ってどうにかなるもんでもないよな、そんなことはわかっているけど。
「ここまできたらもう信じるけどな? ……これは夢なんじゃないかって思うんだ」
「……夢だったら、全部夢だったらあんたはどう思うんだ」
ルーニャは質問で返してきた。黄金色の瞳はじっと俺を見据えている。
「——ほっとするけど、悲しいかな」
夢でいて欲しいこともあるけど、失って欲しくないものもある。でも信じたくないものだって、どんな方法であってもそれを現実だと受け止めなければいけないのだろう。
ルーニャは何も喋らず、ただ座って御主人——紫音の帰りを待っている。時折、開けっ放しの窓の外から鳥の鳴き声が聞こえてくるほか、何の音もない無音の空間の中で、俺はぼんやりと今までのことを考えていた。
+
私の才能では省略しないと不可能でした。ごめんなさい。こういうのをきちんとわかりやすく伝えられる才能を身につけたいです。
……で、結構ファンタジー色強いんですよねー。しっかし今見返せばその場で適当に決めた設定がありすぎる^p^ 天使がでてくる予感がない^p^