コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

 1 ‐ 03 ( No.6 )
日時: 2010/10/14 17:14
名前: 風無鳥 ◆aeqBHN6isk (ID: yjS9W/Zh)

◆ 1 ‐ 03

 ぐは、疲れた。
 念のかいあり、紫音は俺には問題文すら理解できないような問題を当てられたけどそこは頭脳明晰な彼女、しゅぱぱぱぱと答えた。本当にそういう効果音だ。しゅぱぱぱぱだ。しゅぱぱぱぱ。それでいて要点がきっちりまとめられている。と、先生は言っていた。俺にはさっぱりわからない。
 まあ、それは俺にとって特に影響があるものじゃない。だけど俺が当てられるなんてこれはどういうことなんだ。くそ、俺の勘ってこんなによかったっけ……嬉しくねーよ。冷静に考えれば難しくはない問題なんだけれども、その時俺は睡眠の誘惑に引きずり込まれていたところで間抜けな声をあげてしまった。どうしようか。これはもう、絶対……、

「何やってんのよ玲ーっ! ばっかみたい、あ、みたいじゃなくて本当に馬鹿よね」

 やっぱり来やがった。この天才野郎め。お前には俺達の気持ちはわかりませんよー。まあ、俺が馬鹿なのは事実だけど大切なところが抜けているお前に言われると……なあ。

「あ、その目は何よー、言いたいことあるんならハッキリ言いなさいよね!」
「べっつにいー。早くどっか行けっての」
「ひっどーい!」

 頬をふくらませる紫音は可愛いっちゃ可愛いけど騙さちゃダメだ玲、これはあくまで容姿だ。可愛いのは容姿、性格は全く可愛くない。この容姿に騙されて酷いトラウマを持った男は飽きるほどこの目で見てきた。ひっどーいだけなら可愛げもありいいがどうせこの先は、

「謝りなさいよアホバカマヌケ! ちょっとなんか返事しなさいってば! 馬鹿玲!」

 肩をぶらんぶらん揺さぶられる。こいつ貶し言葉のボキャブラリーが小学生並みだなあ。いやそんなことはどうでもいい、酔う、真剣に酔う。俺はかなり健全で酒を飲んだことはないんだ、酔いには慣れていない。……その酔いとは違うだろ、と一人突っ込み。これほど虚しいことはないな。

「あーもーやめろアホ」
「アホ? アホはあんたでしょ? だいたいねー玲が返事をしな「はいはい、俺次の準備するから」

 まだぎゃーぎゃーと言う紫音の口をむぎゅっと押さえて廊下へでる。今日は幸い追ってはこない。

「また痴話喧嘩ですかー、微笑ましいねえ」
「よし黙れ。てめー何回言わせりゃ気がすむんだ」

 廊下に出たら今度は小森がへらへらとした表情でほざく。いつものことだし正直面倒くさいから軽く流すだけにしておく。けど今度きっちり言っておく必要がありそうだ。
 ああ、それにしても俺の安息地はいったいどこにあるっていうんだ……。神を恨みたい。ぜんっぜん信じてないけど。

 教室からは賑やかな声が聞こえてくる。男子のふざけあいとか、女子のおしゃべりとか。
 まあ疲れる。でも楽しいって感じてるのも事実だ。こーゆー馬鹿らしい生活が、俺は好きだし似合ってるだろうな。紫音の行動は困るけど——だけどこの日常にはずっと続いていてほしい。まあ、何か特別なことがそう簡単に起きるとは全く思わない、けど。