コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

 1 ‐ 04 ( No.7 )
日時: 2010/10/14 17:17
名前: 風無鳥 ◆aeqBHN6isk (ID: yjS9W/Zh)

◆ 1 ‐ 04

 今日、部活は色々あってわりと早く終わり。紫音はまだ終わってないし、別に先に帰ってもいいよな。
 鞄を肩にかける。よれよれの紺色の鞄の中にはそんなに物は入っていなく、わりと軽い。普通は教科書なんかが入っているはずなのだけれど俺に勉強という文字はない。いや、これは俺の手が勝手に行ったことだからこれのせいでテストの結果が母親をぷっつんさせたり教師に呼び出されてくどくどと大学のことについて説かれたり紫音に色々と言われたりしても、それは俺の手に責任がある。よし、これで安心だ。なわけないだろ。
 それはともかく、サッカー部のいるグラウンドのところぐらいからしか声は聞こえてこない。俺が入ってる部活は科学部なのだが(といっても真面目にしているわけもなく)、同じ科学部のメンバーは何かやることがあるみたいで、つまり辺りを見回しても帰路に着こうとしてるのは俺ぐらいだった、ということだ。
 なんだかんだで、一人で帰るのって結構久しぶりだなあ。そんなことを思いながらゆったりと歩き出した。

**

 あともう少しで家に着く。
 今日は何をしようか。宿題も少ないし、もう一回言うけど勉強という選択はお山へ飛んでいった。おちゃらけた姉ちゃんもいないからちょっかいはだされないし、のんびりできるな。まだクリアしてないゲームでも進めて……。
 俺の一日の中で少ない自由時間をどうやって充実させるか、色々と構想を練っていると視界に黒いものが映った。ん、なんだ? 
 よく見てみると、どうやら猫のようだった。綺麗な黒猫。足を止めた俺の前を悠然と横切っていく。
 ……縁起悪い。いやいや、そこまで縁起というものを信じているわけではないけど。ま、こんなことを言ったら猫大好きーな紫音には一発蹴られそうだ。俺は猫も好きだけど、生憎どちらかといえば犬派なわけで。黒猫さんには縁起悪いとちらっとでも思ったことを謝っておこう、すみませんでした。
 気のせいかな、一瞬こっちを、黄金色の瞳で俺を見たように感じたが……気のせいだろう。気のせいじゃなかったとしても意味はないだろう。あったら怖いじゃないか、俺が全世界の猫に何をしたっていうんだ。虐待なんてしてないぞ。

 不思議とあの黒猫の姿が頭から離れない。なぜだろう。そこまで印象に残るものでもないと思うけど。まあ、久しぶりにあんな真っ黒な黒猫を見たし、俺の脳にとっては印象深かったのかもな。
 そんなことを考えながら、重たい玄関のドアを開けた。



 ふはは、紫音は猫好きなのです。私もネコバカです。