コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Heart Break No Wing ( No.19 )
- 日時: 2011/01/04 15:09
- 名前: 皐月 凪 (ID: VozPDcE.)
佐伯姉との一対一での試合が始まる...
佐伯姉は中学時代、全日本ジュニア11に選ばれた逸材だ...
佐伯姉はショートサーブを選択した.....
サーブの瞬間、佐伯姉の目つきが変わる
_________それは、まるで獲物を捕らえる鷹のような鋭い目つき..............
サーブは白帯ギリギリ....
俺はそのサーブを上げることしか出来なかった...
なるべく相手コートの奥にシャトルを返そうとしたが、それには一定のラケットの角度が必要であり、あの白帯ギリギリのショートサーブでは、角度をつけるとネットに引っかかってしまう
相手コートの中間より少し奥に上がったシャトル.....
女子とは思えない脚力で飛ぶ佐伯姉...
_______その時もの凄い威圧感を感じた。
その威圧はどこからくる?
さっきのダブルスで負けたからか
佐伯志乃に見合うだけの男を見極めるためか
ジュニアの意地か...........
その答えは................
次の瞬間、シャトルが自分の目の前にあった。
後から音が聞こえてくる......
佐伯姉のスマッシュは音速を超えていたのだ......
プロの選手でも音速を超えるスマッシュはそう何度も打てる訳ではない
文耶も3球に1球は音速を超えるスマッシュを打てるようにはなったが、そのスマッシュには大きなリスクが伴う。
まず、音速を超えるスマッシュはシングルスでは、使えない...
万が一そのスマッシュを返された場合の対応が出来ない。
音速越えのスマッシュを打った後の体の動きには、一時的にではあるが一定の動きが制限される。
それに、脳が判断するまでの時間0.2秒をプラスすればほぼ間違いなく返されたシャトルは取れない。
よって、音速越えのスマッシュはダブルスの後衛の場合のみ使用可能である。
もし、返されたとしても、前衛がカバーする。
その間に体勢を立て直す時間が生まれる....
次のラリーへと続けることができるのだ。
そして佐伯姉は、自分の何かの感情のあまり音速越えのスマッシュを打ってしまった...
大抵の選手は取れないであろうが、俺は新人戦ダブルス優勝、シングル準優勝のそこそこ出来る新米プレーヤー......
自分はこの球を返せるのか?....
そうだ、このシャトルを落として点を取られても次で取り返せばいいじゃないか......
________違う。
俺は試されているんだ......
このシャトルを返せなかったら例えこの試合に勝ったとしても、その勝利は本当の勝利ではない
俺はバックハンドで音速越えのスマッシュをなんとか返した。
返す場所なんて考える余裕もなかった...
無造作に宙を舞うシャトルを、ラケットが覆う....
またスマッシュか!?
いや、違う.....いくら佐伯姉だとしても、音速越えのスマッシュを連発できる訳がない。
次の配球予想は、3つ......
そこそこのスピードのスマッシュ
ネット前を狙ったカット
コートの奥をつくロブ
俺はこのどれかがくると予想して動かなければならない...
佐伯姉が打つギリギリまで動きを観察する.....
上空に飛ぶ佐伯姉、腰をひねりシャトルを打つ...
俺はその瞬間の微妙な手首の動き、そして体育館の風を見逃さなかった。
佐伯姉はシャトルを打つ瞬間、微妙に手首を曲げ、ラケットの面を斜めにした。
そして体育館の風.....
俺はネット前に走った。
________正解
スマッシュを打つフォームで振りかぶった佐伯姉
だがシャトルは打たれた瞬間、失速した......
スマッシュを打つと見せかけて、打つ寸前にラケットの面を斜めにし、シャトルをスライスさせ、失速させてネット前に落とす。
フェイントカット。
シャトルは俺の予想道理の軌道に乗って、ネット前に来た。
俺はそのシャトルを、相手コートに叩きつける。
_________先制点。
俺、桜野優羽に取ってこの一点はいままで取ったどの点数よりも大きかった。
元全日本ジュニア11の選手から取った一点.......
先輩から取った一点.........
女子から取った一点.........
そして、好きな子の姉から取った勇気と言う名の一点......
俺は決意した。
この試合で勝ったらあの子に.........佐伯志乃に.......
俺の思いを伝えることを...........