コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Heart Break No Wing ( No.23 )
- 日時: 2011/01/06 14:55
- 名前: 皐月 凪 (ID: VozPDcE.)
俺が金子監督からもらったラケットは、FDというらしく世界でわずか26本しか生産されなかったとういう超稀少なラケットだということが後々分かった。
T-3を渡したとはいえ、なぜ俺にこんな高価なラケットをくれたのだろう?
明日に控えた全県新人を前にして、俺は不思議に思っていた。
「なぁ、優羽、そのFDとかいうラケット俺に一回貸して〜」
隣で、昨日ガットを金子監督に張り替えてもらったばかりで上機嫌の文耶が言う。
入部当初監督に言われたことを思い出す......
安易に人に私物を貸すな、貸したら最後だと思え......
「文耶、最初に監督に言われたよな、安易に人に物貸すなって..........もしこのラケット壊れたらどうするんだ?」
「絶対壊さないから!!、頼む!!」
両手を合わせて頼み込む文耶...
全県新人でのダブルスのペアはこいつだ.....
ここで断ったらノリの悪いやつだと思われて...........
それで、明日の試合に影響したら..........
貸したとしても、もし万が一壊されたら...........
_________いや、俺が断ったとしても.............
断ったとしても...............
文耶は、友達を下に見るようなやつじゃない!!
俺は、勇気を出して断った
「文耶、悪い!!!........もしものことがあった場合のことを考えると..............ゴメン、本当ごめん!!!」
「分かったよ................このチキン野郎!!」
文耶は、とびきりの笑顔で俺の肩を叩く
___________俺の目から熱いものが込み上がってきた
文耶はいつもそうだ...........
いつも自分のことより人のことを第一に考える
俺はこいつに迷惑ばっかかけてきた...........
全県新人で恩返ししなきゃ!!
俺は、文耶を呼び止め言う
「文耶、ちょっと2人で外走んねぇ〜か?」
文耶は笑顔で答える
「ああ」
俺たち2人は、まだ完全に日が沈みきっていない夕暮れの外に出て、ゆっくりと走り始めた.......