コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Heart Break No Wing ( No.28 )
- 日時: 2011/01/11 17:11
- 名前: 皐月 凪 (ID: VozPDcE.)
与えられた時間は15分........
俺たち咲南は、まず手を揉みしびれをほぐすことから始めた...
春日富士は、念入りにストレッチを始める
________手を揉み始めてから10分近く経ちようやく手の感覚が戻って来た
ラケットを握る.......
自分がグリップを握るときの細かな癖の感じが伝わってくる........
戻った!!
「俺はもう大丈夫みたいだ、文耶はどうだ?」
一番心配なパートナーに尋ねる
「大丈夫だ.......」
文耶は、自分のラケットを握る...........
が落とす....
「.......ヘヘッ」
申し訳なさそうに苦笑いをする文耶..........
まったくこいつは........
俺は、パートナーの文耶を気遣い、マッサージをしてやる
「どうだ?、少しは楽になってきたか?」
「ああ、...........わりいな」
少し涙ぐむ文耶.......
今日の文耶、なんかおかしい........
「約束の15分が経過した、各校試合に入る!!」
主審が言い、俺と文耶は第一コートに、岡見と打矢は第二コートに入る
俺らの相手は逢坂&沓沢組、どちらも同じくらいの身長で真剣な表情だ......
春日富士に経験者(ジュニア)はいないらしいが、この真剣な顔つきに俺たちは威圧されていた
お互いにシャトルを打ち合い、いよいよゲーム開始!!
サーブ権はこちらにある
今回のサーブは文耶が打つ
文耶が放ったショートサーブは、綺麗な弧を描いて、センターラインギリギリに落ちる.........
そのシャトルをバックハンドで上空に上げる沓沢
上がったシャトルは、自コートのバックラインめがけて落下......
今の後衛は俺....
俺は、ラケットを見る........
金子監督から貰ったラケット..........
俺は、飛んだ..............
俺は体をひねり、音速越えスマッシュを放つ準備をした.....
____________俺は見逃さなかった......
上空でとらえた文耶の右手........
一瞬でよく分からなかったが震えていた......
まだしびれが残っているのだろう.......
さっきのサーブがかろうじて打てたんだとして、ここで俺が音速越えのスマッシュを放ち返された場合、文耶は多分反応できない.......
俺は、シャトルがラケットのスイートスポットにヒットする寸前で、体の勢いを殺し、カットスマッシュを放った........
まだ金子監督から教えて貰ったばかりのカットスマッシュ....
決まる可能性はきわめて低い...................
................でも、今、この状況では使うほかない.....
高速回転をかけられたシャトルは、ギュルギュル音をたてながら風を切り、鋭い角度をつけて相手コート右側端の3番に急降下していく...........
相手は、俺のフォームからして完璧、スマッシュか、落としかの2択しか頭に無かったのだろう棒立ちしている
_________決まった
奇跡だ、難易度の高いカットスマッシュに成功するなんて.....
監督は言う.........
10本打って1本入るミラクル球より、10本打って10本入る糞球を打て..................
どんなに下手な配球でも入らないよりはましだと言うことなんだろう.............
今の俺は、その言葉の本当の意味が分かった
______10本打って1本はいるミラクル球は、10本打って10本はいる糞球の中でしか生み出せない!!
自分のなかで、少しだけ勇気がでた気がした
「文耶、失敗したっていい..............失敗をためらって勝ち取った成功なんていらない................超攻撃型フォーメーション、いけるか?」
俺は、前衛で構える文耶に言う
「もちろん!!、.............優羽、心配かけたな」
文耶は笑顔で言う