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Re: Heart Break No Wing ( No.31 )
日時: 2011/01/13 11:56
名前: 皐月 凪 (ID: VozPDcE.)


霧谷のサーブ........


俺が受ける



霧谷が放ったショートサーブは、白帯すれすれ、センターライン中央ギリギリをついてきた



俺は、その球を上げる他なかった.........




次の配球を予想する................


おそらくスマッシュか、カットってとこだろう




俺はどちらが来てもいいように、グリップを若干軽めに握り、コート中央よりに構えた


文耶も同じだ




相手は上がったシャトルを捕らえた..............



瞬間シャトルが消えた!?




シャトルは自分のコートに落ちていた..........




早い........


早いっていう次元を越えてる...............




なんてスマッシュだ............これが国体優勝者のスマッシュなのか





そんなことを考えていたら次のサーブが放たれた



慌てて繋ぐが、またもやモンスタースマッシュ





あんな球目で追うどころか、ラケットにすら当てられない.......





とうとう、俺たちは、一点も決められないまま一セットをおとしてしまった.............





チェンジコート、2分間の時間が与えられる........



文耶の息が荒い....



「ハア、ハア、ハア...やつらの、ハア、ハア、スマッシュ半端ねえ」



「ああ、確かに早い.............けど、俺ら2人だけで戦ってんじゃねぇーんだ」



俺は横のコートでボロボロになりながらも試合する岡見と打矢、ベンチで見守る真嶋たち.............



そして、観客席で応援してくれているみんなを見る





「そうだったよな...........技術では俺たちの方が劣るけど、気持ちは負けてないってとこ見せてやろうぜ!!」


文耶は、俺の目の前に手のひらを向ける



「ああ、一セット取られたけど、立て直すぞ!!」



俺は、文耶の手のひらにハイタッチしコートに戻る






............一セット目はラブゲーム



でもただ点数を取られていた訳ではない





_____しっかり、相手の行動パターンを読んでいた





相手のショートサーブがくる........



俺は、同じように上げる.............




予想していたモンスタースマッシュ...........




シャトルは見えないが、シャトルがラケットに当たるまではハッキリ見えている、その一瞬で大体の球筋がわかる....


あとはラケットをシャトルに当てるタイミング..........

これはもう感覚に任せるしかない、だが、月島、霧谷とも、スマッシュスピードになんら変わりわないことは確かだ






_____上がったシャトルに月島のラケットが覆い被さる





ここだ!!!!!!!!!!!!



俺は、月島のラケットにシャトルがヒットした瞬間、素早くバックハンドに切り替え、ラケットを振った..........






__________当たった




返ったシャトルは、大きな弧を描いて、相手コートのバックラインギリギリに向かった




............続けてくるモンスタースマッシュ




今度のターゲットは文耶のようだ




文耶も学習していたのか、俺と同じタイミングでシャトルを返した



シャトルは、またもやバックラインへと上がる





またもモンスタースマッシュかと思いきや、今度は途中で失速するカットスマッシュだった........





_________そうか、こいつらにとっちゃ俺らが10本打って1本決まるミラクル球が10本打って10本決まるのか.........





モンスタースマッシュのことしか頭に無かった俺たちは、高速で回転しながら除々に速度を落とし、急激に降下するカットスマッシュに手が出なかった。



2セット目も先制点を与えてしまった




こうなりゃ、こっちもミラクル球で勝負するほかないってことか



「文耶、失敗を恐れず、俺らのパフォーマンス見せてこう」


俺は、構える文耶に呟く





__________そう、俺たちだってミラクル球は使ってないだけで色々持ってるんだ...............
失敗したっていい、奇跡を起こそうとしない限りミラクル球は生まれない.........


『奇跡は起こすから価値があるんだ!!!!』





サーブは俺が受ける


相変わらず百発百中の白帯すれすれセンターギリギリサーブを決めてきやがる.............


本当にやっかいだ........



俺は、フォアハンドでシャトルを上げるふりをして、フェイントをかけ、そのままシャトルをネットの白帯を這わせるようにして、クロスヘアピンを放った...


相手は若干下がりかけていたが、こちらにシャトルを上げさせたいのだろう、クロスヘアピンをもの凄い回転をかけて、スピンヘアピンで返してくる.........



前衛の俺が対応にまわる...........



高速回転を掛けられたシャトルは、もの凄い早さで急降下していく

回転がどっちにかけられているのか、その判断は一瞬でしなければならない.........

俺は、ネット前に高速ステップで移動しながら、シャトルの回転を見極める.........




『優羽、右回転!!!!!!!!』


後ろから声が聞こえた、文耶の声だ....



ここで天性のバドミントンセンス開花か!?


俺は、後ろの言葉を信じて、ラケットの面をネットに対して水平にねかせ、手首のスナップをきかせて左にスライドさせた



右回転のかかったシャトルは、左回転をかけたことによって、乱回転を起こし相手コートに落ちていく........



月島はそれをバックハンドで上げる..........



さすがにここまで乱回転がかかったシャトルでは上げる他ないか



上がったシャトルは、後衛の文耶の元へ飛んで行く



『Tスマッシュ!!』

文耶が叫ぶ