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Heart Break No Wing ( No.34 )
日時: 2011/02/02 08:31
名前: 皐月 凪 (ID: VozPDcE.)


____そして俺は今、金子監督の車の助手席に座っている


無言の車内。


俺は、昏睡している文耶が心配でもうそのことしか頭に無かった


きっと監督も同じなのだろう


職員室でついあんなことを言ってしまったが、監督だって文耶のことどれだけ心配していたか...

自分の受け持つ授業だってあるだろうに、監督だって授業が無ければまっすぐ文耶のもとへ向かったはずだ...


俺は監督の気持ちも考えないでなんであんなことを言ってしまったんだろう...



「監督、職員室で......監督の気持ちも考えないで、つい自分の気持ちを優先して言ってしまって申し訳なかったです...」


無言の車内で俺は監督に謝罪の言葉を述べた


「素直なのはいいことだ。自分の気持ちを誰かに正直に伝えることも大切だ。そしてお前は俺にもっと大切なことを気づかせてくれた、授業なんていつでも出来る。でもな、仕事よりハートの方が大事だってことをな......ありがとう優羽」

監督は、片手で自分の胸を指さし言う。



車は高速を抜け、3時間ほど進んだ...



そして、ようやく巨大な総合病院へと到着した。


すぐに文耶の病室を目指した




文耶の病室は、6階新館東側の3つある個室のうちの一番右の個室だった。


部屋に入ると、文耶の両親が付き添っていた。


監督の挨拶に続いて俺も頭を下げる



文耶の両親は、席をはずしてくれた...



文耶に近づき、表情を確認する..



酸素マスクを取り付けられた文耶は、寝ているのか死んでいるのか分からないような表情をしていた...



俺は、そっと文耶の右手を握って、心で念じた......





_____おい、いつまで寝てるんだよお前、俺ら団体優勝したんだぜ!!........でもよ、素直に喜べねぇんだよ............お前が、....お前がこんな状態だからな!!、戻ってこいよ文耶!!!、またバドしようぜ!!、俺のパートナーだろ!!文耶ぁぁぁぁーー!!!!!!!





っと、文耶の心と通じたような気がした......



_____うるせぇーなぁ、病人だぞ俺は......医者が言ってんの聞いたんだ、俺、肺に穴空いちまったらしい、もうスポーツ全般、過度な運動できないみたいなんだ......ゴメンな優羽、来てくれてありがと





文耶の目からは涙が流れていた



俺は、握っていた手を離し、文耶の涙を拭った。......自分の涙を拭うより先に



「監督、こいつ本当にバドが..........バドが出来なくなって.....」



「優羽、もう泣くな......もっと辛いのは、......親御さんだ...」




俺は、泣くなと言われても泣くことしか出来なかった

もう文耶ともうバドが出来ないということを考えると胸の奥が痛くなって、涙が止まらなかった





しばらくすると扉が開き、ご両親が入って来た。


「急に押し掛けてしまって申し訳ありませんでした、それで、文耶の病気のことなんですが.......その、やはり気胸でしたか...?」

金子監督が言う



「いえいえ、とんでもない、来ていただいてきっと文耶も喜んでると思います、.......はい、気胸だと医師に言われました。元々小学校の頃に喘息にかかりまして、あまり丈夫な子ではなかったんです」


母親が言う


「君が優羽くんだね、文耶のパートナーの、試合を影から見させてもらったよ......うちの文耶を、文耶の最後の試合.....文耶の望みを叶えてくれてありがとう、感謝している」


文耶の父さんが涙ながらに言う



「そんな、最後の試合だなんて.......俺は、例え文耶が試合出来なかったとしても、ずっと文耶のパートナーでいます!!」