コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Heart Break No Wing ( No.36 )
- 日時: 2011/02/07 10:35
- 名前: 皐月 凪 (ID: VozPDcE.)
朝、窓からの木漏れ日で目を覚ます...
今日はいい目覚めだ。
佐伯 志乃に告白されてから6日が経った
今日は日曜日、志乃と初デートの日だ
彼女いない歴=年齢の俺にとっては、大きな一日であることに変わりはない。
何を着ていこうか、約束の時間に遅れないだろうか...
頭の中はパンク寸前だった
午前9時32分、とりあえず準備を済ませた俺は、家を後にした。
集合場所は、県立図書館前、10時
俺は約束時間の8分前に到着した。
......が、すでにそこには志乃の姿があった
最悪だ、初デートから彼女を待たせたなんて
「ゴメン!!、待った?」
「全然♪、まだ集合時間じゃないし......優羽、寝癖ついてる...フフッ」
しまった!!、家で鏡を見ていなかった!!
またもやってしまった....
もうほんと最悪だ
「ちょっとしゃがんで」
志乃に言われしゃがむと、志乃は俺の髪に何かを付け延ばし始める
「えっ?」
「どんな寝方してるか分かんないけど、寝癖ひどいから、ワックスで直しちゃうね」
苺のいいにおいがする
このまま時間が止まってしまえばいいのに......
「はい、こんなもんでしょ♪」
「あ、ありがと....」
「さっ、図書館行こ♪」
なんていい彼女なんだ...
今日のデートの日程は、午前が図書館、昼食をどこかでとり、午後は映画、カラオケ...と言う日程になっている。
この日程は全部志乃が立ててくれたものだ
第一デートに図書館なんて、志乃は本がよっぽど好きなんだな...
図書館の中に入り、窓側のテーブルに座る。
「なんかゴメンね、初デートに図書館なんて...」
「ううん、全然問題ないよ...俺、本とか滅多に読まないからよかったらなにかオススメの本教えてよ」
「本当にゴメンね......オススメかぁ〜、ちょっと待ってて」
志乃は、席を離れ、本を探しに奥の方へ歩いて行った。
___志乃は数分で戻って来た。
手には、数冊の本。
「オススメは沢山あるんだけど、ん〜〜〜〜〜、コレかな?」
差し出したのは、『都市伝説XX9』.........?
志乃は、こっち系なのか...
「志乃ってオカルトとか都市伝説とか好きなの?」
「うん、好き、だって夢あるじゃん!!、私はそう言うの信じないけど...」
なんか言ってること矛盾してねぇーか...
「へぇーそうなんだ、じゃ早速読んでみるよ」
最初の2、3ページは、カラーページになっていて、ネッシーやらモスマンやらフライングなんてらやら、訳のわからんイラストで埋めつくされていた。
________2時間が過ぎた。
ようやく俺は、膨大な量の都市伝説やら、未確認生物やらUMAやらのことを事細かに書いてある読み物を制覇した。
まぁ、途中途中飛ばしたところもあるが...
志乃はと言うと、まだ真剣に本を読んでいた。
題名を覗き見すると、『探偵Sは罪を犯す』と言うタイトルだった
推理小説か、サスペンスか分からないが、少なくとも都市伝説よりはまともな本であることは確かだ。
「あっ、もうこんな時間!、優羽はもう読み終わった?」
本から目を離し、俺に質問する志乃
「うん、読み終わった......なかなか興味深い内容だったよ...ハハ」
なんとか愛想笑いで誤魔化してみたりする
「よかった〜、じゃ本返してくるね」
本を戻しに行く志乃。
しばらくすると戻ってきた
「お昼どうする?」
志乃が聞いてくる...
こういう時は俺が提案するべきなんだろうか...
でもここ周辺で美味しい店と言うと...
最近出来たばかりの綺麗なイタリアンの店があるけど、高そうだしな...
ファストフード店じゃ、安いけどなんか雰囲気でないしなぁ〜
残るは、老舗のそば屋か、そこそこの味のラーメン屋、行ったこと無いけど気になっているパスタの店......
それだ!!!
「あのさ、前から行ってみたかった店あるんだけど、そこ行かない?」
始めて提案してみた
「行きたい♪、私この辺じゃ図書館ぐらいしか行かないから全然分かんないんだ」
そりゃそうだろう、この周辺は俺の地元。
志乃の駅はここの駅から6っつ目の駅、逆に俺は毎朝志乃の駅の方面に電車で向かうってことだ。
「それじゃ、行こうか」
目的のパスタの店は図書館から歩いて30分くらいだ。
なかなか距離があるが、店の近くには映画館やアミューズメント施設なんかもたくさん立ち並んでいる
俺は、志乃の隣を歩く...
目線は、志乃の空いた左手にいってしまう
思い切って手を繋いでみたいが、どうしよう...
タイミングが分からない...
俺の右手は、試合の時以上に嫌な汗をかいていた
さりげなく、ジーンズで拭う
はぁー、まだ時間はある、手を繋ぐのはまた今度にしよう
今、俺の隣に数ヶ月前まで電車で目も合わせられなかった人がいる...
それだけでも、奇跡なんだ
佐伯 志乃との出会いは、そもそもバドをやっていなければありえなかった。
そう、あの晴華の練習試合に行った時から物語りは始まっていたんだ
___っと、俺の右手が急に暖かくなった
俺の右手は、志乃の左手と繋がれていた
心臓が高鳴る
目線を上に上げられない.....
でも、上げてみたい
ゆっくり視線を志乃の顔の方に向ける
志乃の顔は赤くなって、横を向いていた
「さ、寒いね...///」
「そ、そうだね...//」
この空気の中、必死に探し当てた言葉を志乃は言った。
その言葉に対して今は頷くことしか出来なかった。
秋風を感じながら、お互いの手のぬくもりを感じながら、長い長い道を2人で歩いて行く........