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Heart Break No Wing 第2章突入!! ( No.43 )
日時: 2011/02/22 11:24
名前: 皐月 凪 (ID: VozPDcE.)


試合が開始された.....

武田兄は、ロングサーブを選択した


体育館の天井ギリギリまで上がったシャトルは、俺のコートのバックラインギリギリに向かって落ちてくる...


俺は、バックステップで下がり次の配球を考えた


ここでスマッシュを打つとほぼ100%返され、その返されたシャトルに反応できない

かと言ってクリアで返すと、相手にチャンスを与えてしまう....





ドロップカット.........




ふいに頭にその単語が出てきた



ドロップとは、スマッシュを打つと見せかけて、スマッシュを打つタイミングで力を弱め、ゆるい球を白帯ギリギリに落とす技で、よくシングルスで多様される....

そのドロップに、ラケットの面を切ることでシャトルにスピードとキレを追加させる技が、ドロップカット...



これだ





俺は、上空に飛び、体を捻り、スマッシュを打つ体勢を見せた

そして、シャトルがラケットのスイートスポットにヒットする絶妙なタイミングで、素早くラケットの面を上から下へスライドさせた




もの凄い回転がかかったシャトルは、白帯のギリギリに降下して行った



だがそこには、もうすでに武田兄が待ちかまえていた....



まるで俺の配球を全て予想していたかのように...



武田兄は、ネット前のシャトルを、内線を使って、俺のコートに叩きつけた




回内だって!?

あの技は、属に『潰し』と言って相手コートにシャトルを叩きつけて確実に得点をいれる技だが、回内はそれとは少し違い、ラケットの面を立てて、相手に潰しかロブかのフェイントを入れて、ほんの一瞬で手首のスナップを利かせてシャトルを落とす咲南だけの技.......


それをどうして武田兄が......






試合は、後半に進むにつれキツイ試合展開となっていった......俺がいくら武田兄にフェイントを入れても通用しなかった....



結局試合には完敗してしまった..






________これがプロ..........




「いやぁ〜、桜野くん強かったよ〜、正直僕もあのフェイントにはビビった」

試合が終わり、握手を交わす際に武田兄が言う


「あのとき、回内使いましたよね.....あれって」


「そう、僕はそこにいる金子監督の教え子なんだ...........あの方、普段はああだけど、ラケット握ると人が変わるからww、多分今の僕でも金子監督には勝てないと思う、いい監督に恵まれて君たちは幸せなんだぞ〜」

そう言うと、武田兄は体育館の外へ出ていった



確かに、俺たちはあの金子監督がいなかったら、短期間でここまで強くなれてなかったと思う...


他の高校のやつらは、そこそこ強いやつもいるけど所詮はジュニア(経験者)....


俺たちは、本当に監督に恵まれていたんだな...





いつか、監督と試合がしてみたい



俺は率直にそう思った







「優羽、惜しかったな.....どうしてフェイントがなかなか決まらなかったか分かるか?」

試合を見ていた監督が言う


「分かりません」


「お前、今の試合で数回しかスマッシュ打ってないだろ、それにそのスマッシュは俺がみたところ瞬間速度300㎞を超えていない.........優羽、お前は元々ダブルス向きのプレーヤーで、シングルが得意でないことは分かる.....だが、どうして打たない?」


どうして、音速越えのスマッシュを打たないか.....

それは、もしそのシャトルが返された場合の対応が出来ないから



「.....対応が出来ないからです」



「優羽.....甘いよ..........そんなんじゃ、あれだけ質のいいフェイントも決まらない、駆け引きしなきゃだめだ!!、バドに絶対は無いんだ!!ミラクル球は糞球の中でしか生み出せないって言ったのはお前だろ!!!、守りにはいるな、どんどん攻めてけ!!!!」





確かに俺は守りに入っていた.......


相手に得点が取られるのが怖いから...


負けるのが怖いから...


先輩に迷惑かけたくないから...


後輩に恥ずかしいとこ見られたくないから...



そして、共に戦ってきた仲間を失いたくわないから________







でも違う..........


バドは駆け引きのスポーツ..........


賭けに成功することもあれば失敗することもある....逆にそれが無ければフェイントなんかはいらない



攻めなきゃ!!!


攻めて自分のバドを伝えなきゃ!!!!!!







_____俺は、監督の一言でまた少し変わった気がした