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Heart Break No Wing ( No.44 )
日時: 2011/02/28 15:35
名前: 皐月 凪 (ID: VozPDcE.)


______総体団体メンバーを決めるトーナメントが終わった


「みんなご苦労さん、今回のトーナメントの結果、団体メンバーは、俊介、葛西、倉町、健実、裕太、岡見に決まった、いいな」

金子監督が言う



「ちょっと待ってください!!.....俺の枠、優羽に譲ります!!」

その時、岡見が言った


「岡見、最初に言ったよな、トーナメント上位のやつを団体使うって、それに優羽は、武田兄に負けた......約束通り団体の話は無しだ」

金子監督が岡見の発言に対して返す



「それはつまり、先輩後輩関係なく強いヤツが団体出れるってことですよね.......そんなん、卑怯ですよ......優羽だけプロと対戦させて........勝てるわけ無いじゃないですか.........」

俯く岡見


「岡見、いいんだ.......気にするなよ」

俺は岡見の肩を叩いて言う


俺に与えられたハンデに対してこんなにも思ってくれる仲間がいる.......
俺はそれだけで幸せだ




「そんなに言うなら岡見、お前が優羽と対戦しろ.....勝った方を団体メンバーに入れてやる、これで文句ないだろ」



「文句ありません!!」

金子監督の発言に対して岡見が言う


「岡見、いいのかよ.....」


「気にすんな、このまま団体俺が出たら心のモヤモヤが残ったままだった、まっ俺が勝つけどなww」

岡見はとびきりの笑顔を見せる


「なんだよお前.........本気でいくからな」

俺はまた泣きそうになってしまった...





時刻はPM7時過ぎ......1年生も25㎞ランニングから帰ってきたようだ...

静まりかえった第二体育館で、岡見と俺の試合が始まる....



主審は、俊介先輩
副審に、葛西先輩
ライン判定に健実先輩と倉町先輩
得点板に裕太先輩がついた


コートの周りでは、部員が輪になって試合を観戦している


「ファーストゲームラボールプレー」

主審の合図で試合が始まる


サーブ権は岡見にある



岡見は、ショートサーブを選択した



俺は、岡見の特長...いや、咲南バド部全員の特徴が分かる....
多分みんなも同じだと思う


岡見は、バランス型.....
スマッシュに偏っているわけでもなく、守備に長けているわけでもない...

その時のコンディションに左右されやすいタイプだ...


元サッカー部と言うこともあり、文耶同様、スタミナは化け物クラスだ....

それに、岡見はある程度のスマッシュは返せる...
よって、こちらが音速越えスマッシュを多様しては、こちらのスタミナだけ持っていかれて、最終的にスタミナ切れで負けると言うことも考えられる.....



岡見の放ったショートサーブは、白帯ギリギリを通過し、センターライン中央を捕らえた



俺は、球の軌道を予測し、シャトルを相手コートのバックラインまで上げる



すかさず来る岡見のスマッシュ...




______速い!!!


俺は、岡見のラケットにシャトルが触れた瞬間にラケットを振った...



若干タイミングがずれたが、なんとか当たったシャトルは、ゆっくりと相手コートの中央、「チャンスゾーン」と言われる相手に取って絶好のポイントにいってしまった....




あのポイントに入ったシャトルは、ほぽ90%決めの球として返される....



次の配球は、スマッシュか潰しか、フェイントドロップか.....



俺は、どんな球が来ても対応できるように、コート中央よりやや手前でラケットをバックハンドで構える.....




俺が気が付くとシャトルは、自分のコートに転がっていた...



俺は、自分のミスも含め岡見に得点を取られ続け、とうとう1セット取られてしまった...




____岡見なのか......本当に岡見なのか.....




今まで岡見に1セットも取られたことの無い俺が、岡見に1セット取られた...



岡見の配球に隙は全く無かった......


これがあいつの本気....






________「バドは駆け引きのスポーツ、絶対はないんだ!!!守りに入るな!!攻めてけ!!!」



俺の心にあの時の監督の言葉が響く........




俺は、その言葉を理解したはずだった......


でも、さっきのセットを見直すと、正直守りに入っていたかもしれない、岡見の真の強さを目の当たりにして...



手も足も出なかったんじゃない.....

自分から攻めようとしなかったんだ!!




俺は、攻める!!






_____第二セットが始まった



サーブ権は岡見


岡見はまたもやショートサーブを打って来た



通常ならば、ここでバックラインに上げるのが妥当だが、俺はあえて白帯ギリギリのクロスヘアピンを放った



バックラインギリギリの球を予想していたのか、若干後ろに下がりかけた岡見は、体勢を立て直して、その球を上げた




今度は、自分のコートの「チャンスゾーン」に上がったシャトルに俺は、全力でスマッシュを放った



シャトルは、相手コートに転がり、後から強烈な爆発音が体育館中に響き渡る...



これが攻めのバド......



俺は今まで、この速度のシャトルを打ってもし返されたら....
とか、ここで打ったらとか、バドを理屈でしか考えていなかった....


でもそんなことは理屈でしかない.....




そんなんじゃ、本当の攻めは出来ない



「岡見、俺ようやく分かったよ」


一言、言ってから試合に戻った