▼000 握りしめた手をひらいても、刹那の幻だった。 耐えていた嗚咽をあげながら、私は大声で叫び続けた。 もういない、あなたへ届くように。 地面の固いアスファルトに落ちる涙をただただ見つめて。 ひとつ、ふたつ、みっつ。 だけど、その水玉模様は空から降り続ける雨に消されてしまう。 届かない、私の想いと同じように。 ……ねえ。 私が想いつづけたとしてもあなたは私を見てくれないの?