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Re:    Monochrome Wing ( No.7 )
日時: 2010/11/12 15:52
名前: 美純 ◆dWCUS.kIT. (ID: kQLROmjL)
参照: 握りしめた手をひらいても、刹那の幻だった。

▼001


 ただ純粋に恋をしていた、それだけなのに。
 あなたの視線の先には違う女の子が居たね。
 勉強も、運動も、性格も、顔も。全てが普通の私がその子に勝てるだなんて思っていないよ。
 ——だけど、忘れないでほしい。
 あなたを好きでいた人が傍にいるってことを。

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 中学三年。
 「白羽ー、今日の体育男女混合バスケだって」
 「本当!? やったあ!」
 私、矢野白羽。隣で喜んでる男子は黒川星也。私達二人は小学生の頃から黒白コンビと呼ばれ、不思議なことに趣味がよくあった。
 そして私は物心ついた時から星也に〝片思い〟している。

 一生叶わない、私の片思い。

 彼は中学に入ってすぐに、北原沙穂ちゃんに恋をした。
 北原さんは二つくくりの文学少女って感じの子。どちらかと言うと地味な方で、運動が嫌いだって言ってた。
 彼は北原さんの何処が好きなのか。どうして彼が地味な北原さんを好きになったのか。
 分からない。幼なじみなのに——ううん、彼はどんどん前に進んでいるから。私は一緒に並んでいたはずだけど、今では背中を追いかけるので精一杯。
 たった一センチの距離でも、その距離は遠い。
 「早く行こーぜっ」
 「……っ、待ってよ!」
 ほら、また私は彼を追いかけてる。
 「いやいやマジでヤバいから! 早くっ」
 彼は私の手をぎゅっと握って体育館の方向へ引っ張って行った。顔が、熱い。ふと彼が振り向いて、にっと笑った。

 そういうところ、好きで堪らない。

 ねえ、この想いは何処にぶつければ楽になるの?



( 好きで好きで堪らない。これ以上言葉に表せない位 )