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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Monochrome Wing ( No.37 )
- 日時: 2010/11/12 16:02
- 名前: 美純 ◆dWCUS.kIT. (ID: kQLROmjL)
- 参照: 握りしめた手をひらいても、刹那の幻だった。
▼008
「嘘……、ねえ何かの冗談よね?」
私の声は低く掠れていた。だけど、溜めていた涙は零れ落ちなかった。
「冗談でも嘘でもない。高校も東京の高校に通うから」
じゃあ、東校に行くって言ってたのはそれこそ嘘なの? 諦めようとしていた私の努力はどうなるの?
諦める以前に、あなたがいなくなってしまうの?
「ごめんな、何度も言おうと思ったんだよ。だけど北原の事協力してもらってる手前、自分勝手なこと言えなかった」
じゃあ、早く言って欲しかった。私の気持ちが爆発しそうになる前に。
『あんまりため込んだら、自爆すっぞ』
いつか湯坂が言った言葉が蘇ってくる。
だけど、ごめん。もう手遅れだよ。
「……東京行くって言う決意を揺らがせるつもりはないよ。だけど、頑張れ、って言える自信はない。笑顔で見送れる自信はない」
星也はぎゅっと唇を噛みしめた。星也も苦しいんだよね、分かってるよ。
「白羽なら……応援してくれるって、思ってた。何でだよ? 俺は、俺はそんなに頼りないのかよ」
頼りなくなんかない。すごく、すごく強いよ。一人で行ったってなんら心配ない。
だけど、君がいないセカイなんて考えられないんだよ。
「 ごめんね 」
ポタッと我慢できなくなった涙を落として勢いよく走った。ずっとずっと、走っていたかった。
ごめん、ごめん。ごめんなさい。
どうして応援できないのか、どうして謝ることしかできないのか。答えは出ているのに。
私が…………星也に、依存しすぎたからだ。
「う、うわああああああーーっ!!」
薄暗い道路で、大声で叫んだ。届かない想いと後悔に駆られながら。
( どうして君を諦められないか。答えは出ているのに )
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