コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Monochrome Wing ( No.45 )
- 日時: 2010/11/12 16:04
- 名前: 美純 ◆dWCUS.kIT. (ID: kQLROmjL)
- 参照: 握りしめた手をひらいても、刹那の幻だった。
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「ケホッ、頭痛い……」
昨日は星也の衝撃発言と、湯坂からの告白。そんなことがあったからか、今日は酷く体が重い。冗談じゃなく、喉も焼けるくらいに熱かった。
休んじゃおっかな。
そう言う不埒な考えが過った。けど、今日は星也と話さなくっちゃ。あの時は気持ちがぐちゃぐちゃで何言ったか覚えてない。
けど、今日は不思議と気持ちはすっきりしていた。
話して、気持ちを押し込めて「頑張って」って応援しなくちゃいけない。彼が東京に行くのに、私の気持ちを持っていかせる理由はない。
彼の、望むことを〝思い出〟として、笑顔で送りだしたいから。
「よしっ」
掠れる声を必死で出して、家を出た。ぎらつく太陽が異様に目に染みた。
暑いな。今日は特に、道路に陽炎ができてる。
「あっ」
「……白羽」
学校までの道の途中で曲がってきた星也と鉢合わせした。言おうと思ったけど、いざ会うと何から話せばいいか分からなくなる。
どうしよう、どうしよう。何を話せばいいの?
「あ、あのっ! 星也昨日はごめんねっ」
無言で足早に行こうとする星也に急いで声をかけた。だけど、掠れた声では大声が出せなくて、届かなかったみたい。
「ま、待ってっ」
追いかけようとするけど、涙で視界がぼやけてよく見えない。待って、私から離れて行かないで……っ。
ああ、あの時と何も変わらない。
私はいつだって、あなたの背中ばかり見つめている。
私が抜かしたことなんて、一度もなかったね。
「まって……星也あっ!」
その言葉を発したと同時に、私は熱い地面に倒れこんだ。最後まで、星也に追い付けなかったけど、
さっきの叫びは、届いたのだろうか。
「白羽……!?」
驚いた星也の声と、足音を聞いた途端。頭に焼けるような痛みを感じて、そのまま暗闇に落ちていった。
( 大好き。そう言えるまでの障害が大きすぎて )