コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re:    Monochrome Wing ( No.53 )
日時: 2010/11/12 16:06
名前: 美純 ◆dWCUS.kIT. (ID: kQLROmjL)
参照: 握りしめた手をひらいても、刹那の幻だった。

▼012



 「白羽ちゃんは、それでいいの?」

 熱も下がり復活した私は星也に頼まれて、沙穂に『東京に行くことを伝えて』欲しいと頼まれた。それで今、私は沙穂に伝えたところだった。
 「それで良いに決まってるじゃない。なによう、沙穂は私に引き留めてほしいの?」
 「そうじゃないけど……」
 顔を少し赤くして、ぼそぼそと喋るのは最初と全く変わらない。其処が可愛いんだけど、とどうでも良いことを考えていた。
 「白羽ちゃん、星也君の話してるときね、愛しそうな顔してるのに。今、すごく泣きそうな顔してるの、私が気づいてないとでも思ってるの?」
 嘘、嘘だ。星也と会ってた時もそんな顔してたのかな。だから、苦笑いしていたの? 結局、星也を引き留めていたようなものなの?
 「ねえ、いい加減覚悟決めて。好きなんでしょ、星也君の事」
 「覚悟?」
 星也を忘れる覚悟? そんなもの、とっくの前から決まってるよ……。
 「忘れる覚悟じゃない。想いを伝える覚悟だよ」
 「想いを伝える?」
 そんなことしたら星也が迷惑じゃない。
 「私が彼氏と別れたとき言ったじゃない、純粋に彼が好きだって、その気持ちが大切だって。人に言えるのに自分ができないなんておかしいよ!」
 「そう……だね」
 想いが弾けてとんでもない事言ってしまう前に、ちゃんと自分の気持ちにけじめを付けなきゃいけない。

 私も、立ち止まっているだけじゃダメなんだ。


 絶対伝わらないって決めつけて、言いもしなかったくせに私の方を向いてくれないなんか言って。
 結局、独りよがりな被害妄想じゃない。

 そこまで結論が行った時、覚悟も決まった。

 「沙穂、私告白する。けじめ、つけてくるよ」


 想いを伝える覚悟。



 ( あなたみたいに、素直になれたら。意地なんて言葉は要らなかった )