コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Monochrome Wing ( No.54 )
- 日時: 2010/11/12 16:06
- 名前: 美純 ◆dWCUS.kIT. (ID: kQLROmjL)
- 参照: 握りしめた手をひらいても、刹那の幻だった。
▼013
「星也、放課後時間ある?」
「んー、委員会があるけど。その後だったら」
告白は、その日のうちに実行が決まった。明日は終業式で、委員は死ぬほど忙しいからだ。
表では冷静に、裏では心臓バクバクでその言葉を告げた。
「話があるから、教室で待ってる」
「おー、分かった。遅かったら先帰っててな」
以外にもあっさりと言われた。
私にとっては一世一代の大勝負なのに。
ちょっとの非難を込めた目で、星也を見た。そんなものも、愛しさに変わるんだけど。
「うう、怖い……」
放課後になってから、心臓がバックンバックン鳴りやまない。顔も火が出るくらいに熱い。何度も考えた告白もきっと本番じゃしどろもどろになるんだろうな。
「白羽お待たせっ!」
びくっと体が強張る。だけど、ここで逃げる訳にはいかない。ここで、皆の気持ちを無駄にできない。
こんな私に好きだと言ってくれた湯坂、頑張れと応援してくれた沙穂。そして、星也に、
——伝えたい。胸いっぱいの好き、を。
「星也、あのね」
「ん?」
ここで伝えなかったら後悔する。もう、後悔する生き方はしたくない。
「……好きなんです。星也の事」
咄嗟に俯いたから表情は分からなかったんだけど、きっと目を見開いて、そして、ごめんって言うんでしょう?
束の間の沈黙が流れる。一分でも一時間でも、もしかしたら二、三秒の間だったかもしれない。それくらい長かった。お願い、早く返事を言って。
NOだって、分かってるんだから。
「……い、いつから?」
「え、えっと。小学校の時からずっと」
予想外の反応だったから戸惑った。もう、振られるんだから早く答えて。好きじゃないって言ってよ。
「ごめん。俺、白羽の気持ち知らずに、恋の応援頼んで。辛かったんだろ? ごめん、マジでごめん……!」
やめてよ。謝られたら、泣いてしまう。
「白羽のこと大好きだし、尊敬してる。だけど、それは異性としてじゃない。親友としてこれからも過ごしたいんだよ」
想っていた時間より、告白の方が短いだなんて皮肉だね。
だけど、もう泣かない。
「うん、親友でいいっ。これ以上望まないから」
望んだら、お別れが死ぬほどつらくなる。ねえ白羽? けじめをつけるための、告白だったんでしょう?
だから、もう泣かないよ。
両想いの恋よりも、この想いは強いって知ってるから。
( 一つの勇気で、世界が反転する )