コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 変人でっとひーとっ! ( No.27 )
- 日時: 2010/11/25 21:05
- 名前: むーみん ◆bbb.....B. (ID: 20F5x0q3)
7話 追跡24時
その後、子猫はおびえて逃げ出し(まあ当然の事だが)俺は今それを何故か未だゴ●ラのまま追いかけていた。
しかし、ゴ●ラ。
なんせゴ●ラ。
着ぐるみで運動神経のよくない俺が追いつくわけもない。
というか……
「なんで皆は追いかけないんだぁああ!!」
気がつけばまりあ先輩と小春は遥か後ろにいて、笑顔で手を振っていた。
これは、俺一人で捕まえろ、ということか?
あいつらの頭はおかしいのか?
状況的に言うと、猫を捕まえるために道をただ一人突っ走っている。あ、正確には天音が隣にいるのだが。
そういえば、さっき犬を散歩しているおじいさんに「がんばれー」とか言われた。
傍から見れば完全に仮装マラソン大会的な感じなのだろうか。
いや、もしかしたら完全なる変人?
『それ、警察に通報されかねないんじゃない?』
天音が必死に笑いをこらえるように隣でそう言った。
さすが霊体。必死で走る俺とは対照的に、余裕で隣を走って(いや浮いて)いる。
「……マジもう勘弁して!」
そんな俺の悲痛の叫びも、虚しく街中に消えていった。
『あ、猫曲がったわよ』
「なんだと!?」
すると天音が急にそう言った。確かに、子猫は方向を変え、狭い道へと入りこんでいる。
俺も急いで曲がり、全力で追いかけた。熱い。着ぐるみのなかはきっと40度近くあるだろう。
何か、意識が朦朧(もうろう)としてきた。
しばらく走ると、前方から何か声がした。
そしてその声ははっきりとこう言ったのだ。
「あれ、白丸13号っ!こんなとこにいたのねっ!」
——と。
俺は立ち止った。
着ぐるみの間から覗くと、かすかに見えるのは、白丸13号と呼ばれた例の子猫を抱く少女。
ネーミングセンスの奇抜さは、あえて突っ込まない。耐えろ、俺。
状況から察するに、どうやらこの子猫の飼い主は彼女らしい。
子猫は彼女の腕の中でごろごろと甘えていた。きっとよほど安心したのだろう。
いろいろあったが、これで初依頼は終了……と思ったその数秒後。
「……何!? このゴ●ラぁああっ!」
「ぐはぁっ!」
その叫びとともに、俺は思い切り殴られた。
その時の記憶は定かではないが、恐らく2メートルくらい飛ばされたんじゃないだろうか。
そして……俺の顔を覗き込むようにして天音は爆笑していた。