コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 妖怪とチョコレート オリキャラ募集中!! ( No.14 )
- 日時: 2010/11/08 20:33
- 名前: 玖夙友 ◆LuGctVj/.U (ID: Omw3dN6g)
「あー、だからね、おれっちは優しい妖精さんなのさ」
「……それ、本当?」
「本当の本当。明日キミのクラスメイトの小山さんに聞いてみるといい。少し口は悪いかもしれないけど、きっと太陽からアンドロメダ星雲くらい遠まわしにおれっちがいい妖精さんだって証明してくれるからっ☆」
「……とても尋常でないほど甚だしく遠まわしなんですね」
「そういう娘だからね」
1.
翌日、俺はばったりと小山餡子(こやまあんこ)なる少女と出くわした。
——学校で。
「……何か用ですか?」
「え、あ……」
いや、訊きたいことはたくさんある。
昨日の付き合ってくれ的な物言いとか、鎖野のことなんで知ってるのだとか、俺に向けてきたあの仰々しい「気」はなんだったのか、なんで髪の毛が紫色なんだとか。
それ以前に、なぜそんな嫌そうな目で俺を見るんだ、とか。
昨日あの後、小山はまた明日と逃げるように俺から姿を消したので、いつどうやって会えるんだと疑問だったが、よくよく思い返せば小山餡子とはクラスメイトであり、かつ席も歩いて二、三歩と近い方だった。
が、昨日とは明らかに様子が違う。
蔑むように、とは言わないまでもどこか視線が冷たい。
突き刺さるように、嫌われているかのような無表情。
そして、あの恐ろしい「気」はまるで感じないという謎。
別人、だろうか。
しかし、あの少女も髪の毛が紫な上におかっぱ、いま俺の目の前にいるクラスメイトと寸分違わない顔つきで、もう少しフレンドリーに接してくれていた。
何より、小山餡子と名乗っていたし……。
「あの……用がないならワタシはこれで——」
「あ、ちょっと待てよ」
「…………。なんですか?」
「昨日さ、会ってない?」
「……何とですか?」
「いや、俺と」
「いいえ。会ってません」
学校ですれ違った、視界に入ってしまったのなら別ですが。
そう言って小山は教室から出て行った。昼休みだし、どっかで弁当でも食べるのだろう。
——さて。
本人がああいうのなら本当だろう。残念ながら嘘吐いているようは見えない。
そもそも、小山みたいな可愛い(見た目が)やつを俺が放っておくわけもなかったか。いつぞや話しかけてものすごく嫌そうだったので極力会話を避けてきたが。
ならば、昨日の小山を名乗る少女はそっくりさん——いやそれで名前が同じなのは変だから偽者というやつだろう。
トモキみたいな妖怪がいるくらいだ。化ける妖怪がいても全然不思議じゃない。
けど。
やはり、気にかかる。
その偽者に、鎖野ことを知られていた。
鎖野は数日前の一件以来、とくに普通の人の見える範囲でおかしなことはしていない。
——なぜなら、その異変を影ながらなんとかイズナくんが抑えていたからだ。
もちろん、実際に何がされたかはいまいちわからないし、俺も付き添っていたのはそんな毎日というほどではないので、その辺も全然わからないが。
「……あー、本当になんなんだ」
あの妖怪ならなんと、言うのだろう。
くだらない冗談でも言ってくれるのではないだろうか。
それで、なんの役にも立たない変な豆知識を添えて、こう言うのだろう。
「あ、先輩」
「言わねえよッ!? あいつたまに俺のことボブって言うんだぜ?」
「……えと、あの」
人違いだった。
「よぉ、後輩」
「ちょっっと待ってください。何がどう『言わない』んですか? 『あいつ』って誰ですかッ?」
「……あー、それは昔ナメック星で壮絶な戦いを繰り広げたフリ——」
「あんたは超サイヤ人ですかぁ!?」
こいつのツッコミのキレはイマイチなんだよな……。
俺は話しかけてきた後輩に目だけ向けて、「何か用か?」と尋ねる。
「あ、いえ。用という用はないんですけど——」
「——なんか知り合いの東(あずま)ってやつが、先輩に会いたいらしいんです」