コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re:         恋時計 ( No.17 )
日時: 2010/11/04 19:25
名前:  苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: zc76bp3U)
参照: http://happylovelife612.blog27.fc2.com/




 第5話



 「あっ!!」



 休み時間、私は教室の窓を開けると、大きな声を出した。絵磨は「どうしたの?」と尋ねる。
 私は、運動場で優志と一緒に遊ぶ、姫吉怜緒を指差した。それに気付いた絵磨は、途端に顔を赤くする。
 

 「姫吉君、いるね」
 「……怜緒、今日もかっこいいー」


 絵磨の姫吉君をみる目は、いつもと違う。キラキラ輝かせて、頬を紅潮させ、話しかけても返事がこない。

 私が、優志を見るときと全く一緒だった。だって、絵磨も同じこといってたもん。


 

 ——放課後。
 部活が終わり、下校時間の5時になったので、校門からは次々と生徒がでてきた。
 その中に、私と絵磨がまぎれていた。私は、オレンジ色に染まる空をみあげると、突然背後から声がした。


 「あっ、バ香織とバカ絵磨だ!」
 「相変わらず、アホコンビだな」


 私はムッとして、振り返った。そこには、森野康祐と三上望が、バカにするような目つきで立っていた。
 絵磨は、私より先に望たちのところへいき、大声で怒鳴った。


 「うるさいっ!! どんぐりとハゲ」
 「どんぐりだとぉ……?」
 「どんぐりだよ、お池にハマってさあ大変ってなっとけ」


 望と口喧嘩を続ける絵磨。あまりにも声が大きいため、周りから注目されていた。私も、何気なくその場へ近寄る。
 
 「おい望、こんな奴相手にしないでいこうぜ」
 「嫌だ! ……バカ絵磨、お前は俺よりテストの点数低いくせに!」
 「うるさい、算数だけだもん」


 喧嘩するほど仲いいっていうけど、この2人は本当に会うたびに喧嘩しているきがする。
 ちなみにこの2人は、家が隣同士で幼稚園から含め、8年間も同じクラスの幼馴染の腐れ縁。

 ちなみに森野とは、小学校から知り合い、怜緒や優志や望と仲良くしているとこがみられる。
 眼鏡をかけているが、性格はかなりワルで、他校の不良とも絡んでいると噂があるらしい。

 
 
 これ以上長引くと、日が暮れると思ったので、私は絵磨の服の裾を引っ張った。
 すると絵磨は「続きは明日だっ!」といって、くるりと私のほうに姿勢を戻した。

 「ごめんね、長引いて」
 「いやいや……望と絵磨、まじ仲良いね!」
 「仲良くないもーん」


 そうやって頬を膨らます絵磨は、かわいかった。私にもこれだけ可愛さがあれば……。


 


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 次の日、私は放課後いつものように部活をしていた。といっても、部室でボーッとしていた、が正しい。
 部室の窓からは丁度、運動場がみえる、運動場からは、勿論サッカー部をみることができた。


 「かっこいい〜……」


 隣の絵磨と、声が重なる。私は優志を、絵磨は怜緒をみていた。
 あの、黒く純粋な瞳には、私はきっと映っていないだろう。
 私のことなんて、頭にもないとおもう。けれど、私は君が好きだ。
 
 と、そのときだった。突然、後頭部に激痛が走った。



 「いった〜! なにすんじゃごるぁ!」
 「なにみとんじゃ、このアホ女」


 孝文が軽蔑したような目つきを私に向けていた。片手にはドラムのスティックをもっている。
 もしや、これで私の頭を……とおもうと、怒りが抑えきれなかった。


 「なにをみててもいいでしょ! つかスティックで叩くな! スティックで!」
 「あ、久保先輩、俺ちょっと、ドラム叩けるようなったんすよ、みてくださいよ」
 

 なんと、孝文は私の発現を無視して、絵磨のほうに話しかけた。
 私はしぶしぶ、キーボードを組み立てて、黙々と楽譜を見て練習を始めた。


 「ねぇねぇ香織ちゃん」
 「はい、なんでしょうかっ、花先輩っ!」


 私はさっきまでのイライラとは打って変わって、バカ丁寧な返事をした。花先輩はクスッと笑う。

 
 「香織ちゃん、三井優志って人が好きなの……?」
 「えっ!? そうですよ」
 
 私は、部活内であんなにも優志をみていて、花先輩の妹の、桜先輩だって、あんなにそのこといってたのに……。
 まさか知らなかったのだろうか。私は少し意外だった。


 「そう……でもあの人、最近誰かに好かれてるみたいだよ」
 「そうなんですか?」
 「うん、あんまり詳しく知らないけど、すっごくタラシの人なんだって」
 「へえ……」
 「香織ちゃん、気をつけたほうがいいわよ」



 それだけいって、花先輩は持ち場に戻ってしまった。