コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re:         恋時計 ( No.19 )
日時: 2010/11/08 20:06
名前:  苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: zc76bp3U)
参照: http://happylovelife612.blog27.fc2.com/


 第6話



 私は、ずっとずっと花先輩の言葉が気になっていた。
 ——あの人、最近誰かに好かれてるみたいだよ。
 あの人って誰? 全く見当がつかなかった。
 ご飯を食べるときも、お風呂に入ってるときも、布団に入ってるときも、そのことばかり考えた。
 そうしている間に……日々は過ぎ去り、今日はいよいよ、修学旅行の日だ。



 6年生と、9年生……いわば中3と、合同で修学旅行をすることになっていた。班も、2学年合同。
 生活班は、男女混合なので、私と絵磨は大和先輩と一緒に、組むことになった。
 

 行き先は、沖縄。飛行機で何時間かかけていくらしい。そして、綺麗なホテルに泊まるそうだ。
 そうおもうと、私は今からドキドキとワクワクが抑え切れなかった。

 「ホテルたのしみ〜! ねぇ、食後のデザートとかあるかな?」
 「香織は食べ物の事ばっかり……今回の修学旅行は、沖縄の歴史の勉強がメインなんだよ」


 私の情けない言葉に、絵磨は呆れた表情で突っ込みを入れた。隣で、大和先輩とその友達も、笑っている。
 先生の声と同時に、皆は一斉に集合場所に集まった。先生の長ったらしい話が終わると、いよいよバスで出発だ。空港までバスでいくことになっている。


 バスの中は、案の定賑わっていた。もちろん私も、絵磨とはしゃいでいた。トランプをしたり、窓から見える景色を眺めたり……。
 
 空港で飛行機に乗り、沖縄に着いた。沖縄の空気はとても新鮮だった。
 そこで私達は、綺麗な海で遊んだり、沖縄の歴史について勉強したり、三味線を体験したり、もちろん、ホテルでおいしい食事もした。



 でも、宿泊行事でやっぱりかかせないのが……お部屋の中での、ガールズトーク!
 
 誰々がかっこいいとか、あの人とこの人が付き合ってるとか、そういう話が私は結構好きだ。
 ちなみに、部屋の班メンバーは、私・絵磨・端枝沙羅・田島沙理の4人だった。
 最初は、私&絵磨・沙羅&沙理だったが、くじ引きででこういう結果になったのだ。


 
 私達は、ご飯を食べ終わり、お風呂にはいると部屋に戻って、布団を敷いた。消灯時間の10時になって、しばらくすると、沙羅が口を開いた。

 
 「ねぇ、絵磨って好きな人とかいる?」
 「いるよ、沙羅は?」
 「いる! ねぇ誰? 教えて、ウチも教えるから」


 絵磨は少し考えてから「いいけど、沙羅も教えてね」と答えた。次に、沙羅は私のほうに視線を移した。


 「香織も好きな人いる?」
 「いるよ」
 「まーじで、じゃあ教えあおー」
 「沙理は好きな人いないの?」


 そう聞いたのは、絵磨だった。沙理は、いじってた携帯画面から視線を移す。


 「うち? 前はいたけど今はいないよ」
 「そうなんだー……てか、沙理携帯持ってくるとか、勇気あるね!」
 「でしょー」


 沙理は、そういって微笑むと、再び携帯に視線を戻した。すると、沙羅は2・3回瞬きをして、声を若干低くした。


 「えっとね、沙理とかにはもう教えてるんだけど……城沢拓斗!」


 城沢といえば、確か隣のクラスで髪の毛を、茶色に染めていて、森野たちと仲の良い男子だ。
 一方沙羅も、髪の毛を赤茶髪に染めていて、結構ギャルなとこから、城沢と合うと思った。


 「えっとね、うちは……怜緒、姫吉怜緒だよ!」
 「2組の三井優志」


 私達が、好きな人を暴露すると、沙羅は意外そうな顔で驚いて「え〜」と叫んだ。
 沙理も携帯から視線を離し、驚きの表情を見せている。


 「絶対秘密だからねっ! もし言ったら、城沢本人にいっちゃうよ!」
 「わかってるって、こっちだって、もしいったら本人にいっちゃうからね」


 沙羅はにっこりと笑みを浮かべた。



 「けどさあ、2組の三井って、なんか誰かが狙ってるっていってなかったっけ?」
 
 そういったのは、沙理。
 私は、花先輩から聞いていたので、あまり驚きはしなかったけど、「えっ」と思わず声をだした。

 
 「まじで? 誰?」
 「さーあ、なんかだいぶ前にちょろっと聞いただけだし、よくわかんないけど」
 「そうなんだー」


 私はそうやって、返事しつつも、内心はやっぱりそのことが気になっていた。
 

 「ねえ、香織」
 「ん?」
 「あのさ、調べてみない? やっぱこういうこときになるでしょ?」
 「えっ」



 絵磨からの意外な発言に、私は驚きを隠せなかった。



 「う〜ん……まあ、ね」
 「明日の自由行動の時間がチャンスだよ!」
 「けど、どうやって?」
 「何気なーく、皆の前でこの話するんだよ」


 絵磨は、にこにこしながらそういった。私はまだ驚きを隠せない。けど、そうしたほうが、やっぱモヤモヤも晴れるよね。


 「そうだね、そうしてみよっ!」
 「ウチらも協力してあげよっか?」


 そういったのは、沙理と沙羅のコンビだ。この2人は、友達も多いしなにかと情報が入るだろう。


 「ありがと! 沙羅、絶対沙羅の恋うちも協力するね! 沙理も好きな人できたら協力するね!」
 「あははーありがと!」



 こうして、私達の夜は更けていった。明日が、楽しみでたまらなかった。