コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re:         恋時計     ( No.23 )
日時: 2010/11/09 19:42
名前:  苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: zc76bp3U)
参照: http://happylovelife612.blog27.fc2.com/


 第7話



 自由行動の時間は、今朝ご飯を食べて、旅館をでた9時から、15時までだった。班で、昼ごはんを食べることになっているらしい。それから、バスで空港へ向かい、学校へ帰ることになっている。

 自由行動といっても、行動範囲は限られているので、大体どの班も同じような行動場所だった。
 私達は、お土産屋さんをみていると、絵磨が突然声をだした。


 「ねぇ、そういえば、うちらが9年生なったら、また沖縄に来るのかな?」
 「さぁ……どうなんだろうね?」
 「あぁ、それなら違うよ」


 隣から、大和先輩がそういってくれた。大和先輩は話を続ける。


 「大阪、奈良、京都、沖縄で4つの場所をローテーションしていくんだ。来年の6年と9年は大阪。ちなみに、香織ちゃんたちが9年生になったら、行き先は、京都になるわけだね」
 「そうなんですかーありがとうございます!」


 大和先輩の分かりやすい説明で、絵磨も疑問が晴れたらしい。可愛らしいチャームをみつけると「これ、お母さんに買って行こうかな」と呟いた。



 公園の広場で、休憩することになった。ここには、違う班の人たちもたくさん休憩している。


 「香織ちゃん、絵磨ちゃん、ジュース買ってくるけど何がいい?」
 「あっ、私達が買ってきますよ!」
 「いいんだよ、俺らがいくから」
 

 大和先輩は、にっこりとそういった。なんだか、申し訳ない気分もあるが、お言葉に甘えることにした。


 「じゃあ、私コーラでお願いします」
 「私はレモンティーで!」


 順に私と絵磨がそういうと、大和先輩達は、自動販売機へ向かうため、遠くへと消えていった。


 「ふぅ……」


 絵磨がふいに、ため息をする。私も同じようにため息をだした。
 そよそよと吹く秋風は、とてもきもちがよかった。皆の笑い声、小鳥のさえずり、綺麗な紅葉……。


 「ねえ、そろそろ作戦実行しちゃう?」
 「そうだね!」


 私達はたちあがった。そして、大声で話を始めた。最初に、絵磨が口を開く。


 
 「そういえばさー、2組の……えっと誰だっけ、三井優志だっけ? そいつのことが好きな人誰だっけ?」
 「えー、私もわかんなーい! でも噂できいたんだよねー! 誰だっけ?」



 しーん……。誰1人、反応をしてくれなかった。北風と枯れ葉が、哀愁を漂わせる。まるでなんか、漫画みたい……。



 「……沙理と沙羅、本当に聞いてくれたかな」
 「さあ、どうだろうね……」


 そんな話をしていると、前方から沙羅と沙理がやってきた。「噂をすればやってくる」っていうのは、どうやら本当ならしい。


 「香織ー! あのね、例の人、三井と同じクラスの人なんだって!」
 「そうなの!?」
 「うん、皆でその話してたら、美里奈がそういってた」


 美里奈……藤山美里奈。沙理や沙羅と仲がいいが、クラスが離れて、3組になったため、班も違うのだ。


 「他の事は?」
 「わっかんない、そのへんはベールにつつまれてるんだよねー謎」


 2人はそういうと、再びどこかへいってしまった。
 それと同時に、大和先輩達が戻ってきた。私は「ありがとうございます」と礼をすると、コーラを受け取った。


 「おいしー!」
 「だね、おいしー!」



 それから、おみやげ屋さんをみたり、色々遊んだりした。あっというまに、時間になり、私達は空港へと向かった。


 「ああー……いよいよ地元へ帰るのかあ」
 「だねっ、あーあのさ、香織」
 「ん?」


 飛行機の中で、私達は話をしていると、突然絵磨が改まって、私の名前を呼んだ。


 「さっき、聞いたんだけどね……例の三井君を狙ってる人……怜緒のことも狙ってるんだって」
 「えっ!」


 絵磨は「絶対に誰か知りたい」といって、俯いてしまった。このままじゃ取られてしまうかもしれない、その一心だけが私達の頭の中を駆け巡る。


 「もっと、色々調べてみようか」
 「そうだね……」


 けれど、それがわかったところで、私達が両想いになれるわけでもない、それはわかっていた。
 けれど何故か知りたくて……知ったら、モヤモヤが晴れるんだ。


 お土産で買った、ピンク色のプラスチックのキーホだけが、キラキラと輝いていた。