コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re:         恋時計     ( No.30 )
日時: 2010/11/14 13:41
名前:  苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: zc76bp3U)
参照: http://happylovelife612.blog27.fc2.com/

 


 第8話




 「えっ、今日久保先輩休み?」
 「休みっていうか、塾行き始めたから、水曜日はこれないんだってさ」
 「ふ〜ん、大変だな」


 修学旅行から帰ってきた次の週、私は孝文と龍夜から質問されていた。部活だけといえど、絵磨がいないと寂しい。しかも、もうすぐ文化祭。


 「でも大丈夫だ、久保先輩ギター超上手いしな」
 「そうそう! どこかのキーボーティストさんと違ってな」


 龍夜がチラッと、私のほうをみてそういった。私は「そっくりそのままそのセリフを返すよ、ドラマーさんとベーシストさん」と、言い返した。


 「それより早く練習しよう」
 「……えーっと、何の曲だっけ?」
 「アホ!」
 「いたっ」


 私が尋ねると、孝文が私の頭を軽く……結構強く叩いてきた。私は頭を抑えながら、俯いて「いた〜い」と何度も叫ぶ。そのとき、龍夜が口を開いた。


 「お前と久保先輩が決めた、Listen!!って曲と俺と龍夜が決めた、キセキだろ」
 「あーそうだったそうだった、ごめんねー」


 私はわざとらしく謝ると、1人で勝手に楽譜を見て練習を始めた。



 
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 部活が終わって、私は鞄をもって帰ろうとしたそのときだった。
 音楽室の入り口前に、見覚えるのある女の子がいた。
 少し茶色の混じったミディアムロングに、釣り目気味の背の高い……石山絵里那だった。
 絵里那はこちらをみて、手を振っている。私も「絵里那!」といって手を振りかえした。


 「絵里那、部活してないのに、学校いたの?」
 「居残り勉強だよーまじだりぃー……ところで、絵磨は?」
 「塾で先に帰った」


 私がそう答えると、絵里那は「ふーん」といってしばらく黙ってしまった。
 しかし、またしばらくして、絵里那は「一緒に帰る?」と聞いてきた。私は首を縦に振る。



 
 校門をでたと同時に、絵里那が何かひらめいたような顔をして、大きな声を出した。


 「あっ、そうだ! 丁度良かった! 香織に言いたいことあったんだ」
 「何々?」


 「あのね……」といって、絵里那は話を始めた。私は耳を澄まして、絵里那の話を聞く。


 「怜緒と優志のことが好きな人、2人の机にこんなの置いてたんだって」


 そういって絵里那が渡したのは、2枚の紙切れだった。
 そこには鉛筆で「好きです♪2組のある女子より」とかいてあった。私は目を大きく見開く。


 「多分、2組女子って噂なのはここからだとおもうよーけどそれが誰かと分かんないというねー」
 「そうなんだー、ありがとう」


 私は翌日絵磨にいって、筆跡調べようと思ったけど、そこまでする余裕はないので、やめておいた。
 



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 「さあ、今日も練習しよう!」


 私はノリノリ気分で、キーボードを組み立てて、勝手に練習を始めた。
 絵磨も、ギターで練習を始めている。

 
 「久保先輩、一度皆で合わせて見ませんか?」


 そういったのは、孝文。



 「そうだねー、香織、龍夜君、合わせるよー」
 「はぁい」


 私と龍夜が同時に返事をすると、皆で演奏を始めた。



 そのときだった、音楽室の外から、女子のけたたましい叫び声が聞こえたのは。